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普段着
「普段着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
普段着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八十八夜」より 著者:太宰治
りとして笠井さんを呼びとめようとしないのだ。無理もないのである。帽子もかぶらず、
普段着の木綿《もめん》の着物で、それに、下駄も、ちびている。お荷物、一つ無い。一....
「服装に就いて」より 著者:太宰治
を着て出掛けた時には、用談も、あまりうまく行かない。たいてい私は、軽んぜられる。
普段着のように見えるのかも知れない。そうして帰途は必ず、何くそ、と反骨をさすり、....
「玩具」より 著者:太宰治
てしまうと、私は糸の切れた紙凧《かみだこ》のようにふわふわ生家へ吹きもどされる。
普段着のまま帽子もかぶらず東京から二百里はなれた生家の玄関へ懐手《ふところで》し....
「女神」より 著者:太宰治
行って細君に逢い、場合に依っては、その女神とやらの面皮をひんむいてやろうと考え、
普段着の和服に二重廻しをひっかけ、 「それでは、おともしましょう。」 と言った....
「おしゃれ童子」より 著者:太宰治
ているし、思うようにお金使って服装ととのえるなぞ、とても不可能なことなのでした。
普段着いちまい在るきりで、他には、足袋の片一方さえ無い仕末でした。よほど落ちぶれ....
「過古」より 著者:梶井基次郎
れない感情を呼び起こした。涙が流れ出た。 響きは遂に消えてしまった。そのままの
普段着で両親の家へ、急行に乗って、と彼は涙の中に決心していた。....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
あたま》を有しておった。ところがある日の事、先生例の頭――頭に外行《よそゆき》も
普段着《ふだんぎ》もないから例の頭に極ってるが――その例の頭を振り立て振り立て、....
「春の枯葉」より 著者:太宰治
をしているみたいに見えているんじゃないかしら。ところが、それはあべこべで、地味な
普段着も何も焼いてしまって、こんな十六、七の頃に着た着物しか残っていないので、仕....
「帰去来」より 著者:太宰治
である。当時、私は甲府市に小さい家を借りて住んでいたのであるが、その結婚式の日に
普段着のままで、東京のその先輩のお宅へ参上したのである。その先輩のお宅で嫁と逢っ....
「死のなかの風景」より 著者:原民喜
ぎつぎと畳の上にくりひろげて眺めた。妻はもっている着物を大切にして、ごく少ししか
普段着ていなかったので、殆《ほとん》どがまだ新しかった。義母は愛着のこもった手つ....
「『静かなる愛』と『諸国の天女』」より 著者:宮本百合子
篇よりも 更に山があり谷があり 貴女の姿のまるみのみえる 逆説的の不思議はそこに
普段着のごとく書けよ 流れるごとく書けよ まるでみどりの房なす樹々が 秋....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
ながらも笑っている。相手にしないという恰好である。当然かも知れない。この時岡八、
普段着の姿でやって来た。唐桟の半纏というやつである。そうして口調は伝法だ。だが、....
「地上」より 著者:島田清次郎
、一人で淋しがっているに違いない。何んだか起きて顔がみたいと思った。冬子は起きて
普段着に着かえて、小妻に「わたし、ちょいと用のあるのを忘れていましたの――もっと....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
人で白髪交りの褐色の頭髪を後で手際よくまるめて居る。服装も目立たない黒地がかった
普段着のドレスを着て居る。有名な芸術家の妻としての何か特異な姿を待ち望んで居たら....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
は、朝、食堂へ出るのに折目のついたモーニングを着、夜、食堂へ出るのに、よれよれの
普段着の日本服に袴を穿かないのだから面白い。 正に儀礼顛倒という訳だ。 婦人....