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「晴らす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

晴らすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老妓抄」より 著者:岡本かの子
の菓子の上にたかる蠅《はえ》のようにうるさかった。 何となくその不満の気持ちを晴らすらしく、みち子は老妓に当ったりした。 老妓はすべてを大して気にかけず、悠....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
た川越しの蓮台を蔵している家を尋ねて、それを写生したりして、大井川の堤に出た。見晴らす広漠とした河原に石と砂との無限の展望。初夏の明るい陽射しも消し尽せぬ人間の....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ますが、それから大森までは人家が途切れて、一方は海、いわゆる安房上総をひと目に見晴らすことになる訳で、仕置場までの間を鈴ヶ森の縄手と呼んでいました。その縄手を越....
」より 著者:岡本かの子
ら大学へ苦もなく進めた。それでいて、何かしら体のうちに切ないものがあって、それを晴らす方法は急いで求めてもなかなか見付からないように感ぜられた。永い憂鬱と退屈あ....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
形ばかりの枝折戸、枝折戸の外は三尺ばかりの流れに一枚板の小橋を渡して広い田圃を見晴らすのである。左右の隣家は椎森の中に萱屋根が見える。九時過ぎにはもう起きてるも....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
の女は、そのキラキラする鋏の刃を見て、むす子が親に訣れた後のなにか青年期の鬱屈を晴らす為にじょきじょき鳴らす刃物かとも思い、ちょっとの間ぎょっとしたが、さりげな....
河明り」より 著者:岡本かの子
たことは、河沿いの家できれいに仕末して去り度い。 そう思って来ると、口惜しさを晴らす意地のようなものが起って来て、私は炬燵の布団から頬を離して立ち上った。 「....
家なき子」より 著者:楠山正雄
女の心は目で見るかぎりをこえて先へは行かなかった。それもアンドゥーズ山の頂から見晴らす地平線上に限られていた。 わたしの親方は王さまに会ったことがある。その王....
端午節」より 著者:井上紅梅
て金が要るのか」 彼はもう理窟も何も放ったらかしで彼女を校長がわりにして鬱憤を晴らすつもりでいるらしいから手がつけられない。で、彼女はなんにも言わない。 二....
森先生」より 著者:芥川竜之介
生も時には間違わるる事あるを知り、反って親しみを増せし事あり。部屋は根津界隈を見晴らす二階、永井荷風氏の日和下駄に書かれたると同じ部屋にあらずやと思う。その頃の....
恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
どをいう義助も、唯ぼんやりと黙っていた。雨はだんだん強くなって、二階の縁側から見晴らす海も潮けむりに暗かった。 「あいにく降り出しまして、御退屈でございましょう....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
品が無くって徒にパッと開いて居ますね」 宮坂は景子の直ぐ傍へ来て今までの鬱屈を晴らすような明快な声で言い放った。空気と共に花の匂いを一ぱい胸に吸い込むような大....
審判」より 著者:カフカフランツ
のものである。そして最近では、Kはほとんどこの嫌悪に苦しめられている。この嫌悪を晴らすことができないからである。いずれも、まったく取るに足りないいちばん下っ端の....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
子を見て、何か疑わしく思ったのではなかろうかと思われて、それでは矢張りその疑いを晴らす為に飲む可きだとも思った。それにしても、夜更けの海辺で明日子を見て自殺者と....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
れ、極度の神経衰弱に陥ってゆく様子にもう黙ってはいられなくなりました。彼の嫌疑を晴らす途はただひとつ、書類を発見することよりありません。それで決心してあなたにお....