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晴れる
「晴れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
晴れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
でしょうか。私は独りこのどちらともつかない疑惑に悩まされながら、むしろその疑惑の
晴れる事を恐れて、倉皇《そうこう》と俥に身を隠した私自身の臆病な心もちが、腹立た....
「河童」より 著者:芥川竜之介
れずに登ってゆきました。朝霧の下りた梓川の谷を――しかしその霧はいつまでたっても
晴れる景色《けしき》は見えません。のみならずかえって深くなるのです。僕は一時間ば....
「或る女」より 著者:有島武郎
だ、力が尽き切ったと、観念しようとした時、しかし、その奇怪な死は、すうっと朝霧が
晴れるように、葉子の周囲から消えうせてしまった。見た所、そこには何一つ変わった事....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
あと二夜《ふたよ》ばかりは、空模様を見て親たちが出さなかった。 さて晴れれば
晴れるものかな。磨出《みがきだ》した良《い》い月夜に、駒《こま》の手綱を切放《き....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
なったのだ。陰ながらも省作を見、省作の声を聞けば、おとよさんはいつでも胸の曇りが
晴れるのだ。それがため到底だめと思ってる隣の家にうかうか半年を過ごしたのである。....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
はもう勝山でござります、ヘイ」 「じいさん、どうだろう雨にはなるまいか」 「ヘイ
晴れるとえいけしきでござります、残念じゃなあ、お富士山がちょっとでもめいるとえい....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
いままに、つとめて子どもたちの話に興をつけて話した。けれども僕の気分も妻の顔色も
晴れるまでにいたらなかった。 若衆は牛舎の仕事を終わって朝飯にはいってくる。来....
「地中魔」より 著者:海野十三
少年探偵三浦三吉 永く降りつづいた雨がやっとやんで、半月ぶりにカラリと空が晴れわたった。
晴れると同時に、陽の光はジリジリと暑さをもって来た。 ここは東京|丸の内にある....
「海底大陸」より 著者:海野十三
。 銃声は、あたりにこだまして、うわーンとものすごいひびきを発した。 硝煙が
晴れるのを待って、三人はいま射撃した透明のかべがどんなになったであろうかと、その....
「雷」より 著者:海野十三
柱が立った。落雷だ。 「……どうです、北鳴さん。私の家はすぐそこですから、夕立の
晴れるまで、ちょっとお寄りなすって雨宿りをせられてはどうです」 稲田老人は、北....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
被ったと思うと、箕で煽るように前の峰へ畝りを立ててあびせ掛けると、浴びせておいて
晴れると思えば、その裏の峰がもう晴れた処から、ひだを取って白くなります。見る見る....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
わず歎息をして呟いた。 母様は笑を含んだお声でもって、 「廉や、それはね、雨が
晴れるしらせなんだよ。」 この時猿が動いた。 九 一|廻くるり....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
まだ若いんですよ、三十を越したばかりでしょ。まアそれはとにかく、おいささんが、今
晴れるか
晴れるかと思って、空ばかり見ているもんだから、神様もはじめは黙って、着物....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
、風冷南洲五月秋。 (あけがたの雨がようやくおさまったが、雲はまだ空をおおって、
晴れることときめこんで郊外に吟詠の遊びをした。谷をみたす落葉は人の掃くこともなく....
「越年」より 著者:岡本かの子
るのでやめてしまったのです。先日、銀座で貴女に撲り返されたとき、これで貴女の気が
晴れるだろうから、そこでやっと自分の言い訳やら詫びをしようと、もじもじしていたの....