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晴間
「晴間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
晴間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
たく変わってきて雨雲《あまぐも》の南風につれて武蔵野の空低くしきりに雨を送るその
晴間には日の光|水気《すいき》を帯びてかなたの林に落ちこなたの杜《もり》にかがや....
「勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
街を青い潮水の水底にあるように思わせた。その中を霧が煙のように絶えず上って、霧の
晴間には、月の光にぬれた樹木の青葉が、きらきらと輝いているのが見えた。そんな宵、....
「行人」より 著者:夏目漱石
。陰欝《いんうつ》な彼の調子は、自分が下宿する前後から今日《こんにち》まで少しの
晴間なく続いたのである。そうしてそれがだんだん険悪の一方に向って真直《まっすぐ》....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
遣ったということです。 雷見舞 一 六月の末であった。 梅雨の
晴間をみて、二月ぶりで大久保をたずねると、途中から空の色がまた怪しくなって、わた....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
七月の初めの頃と思われた。 六月の雨は中世紀の僧院のように、暗くて静かだ。適に
晴間を見せて、薄日が射すと、反ってあたりは醜くなる。太陽の輝く都会は僕にとっては....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
とて勝味は無い。鞭声《べんせい》粛々夜河を渡った彼《か》の猛烈な謙信勢が暁の霧の
晴間から雷火の落掛るように哄《どっ》と斬入った時には、先ず大抵な者なら見ると直に....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
…薄暮合には、よけい沢山飛びますの。」 ……思出した。故郷の町は寂しく、時雨の
晴間に、私たちもやっぱり唄った。 「仲よくしましょう、さからわないで。」 私は....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ました。」 ――斉しく見遣った。 富士|颪というのであろう。西の空はわずかに
晴間を見せた。が、池の端を内へ、柵に添って、まだ濛々と、雪烟する中を、スイと一人....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
化を研究すべき天文学者の仕事はこれから始まるので、学者達は毎晩曇った空を眺めては
晴間を待ち明かしている事であろう。 五 幼い Ennui 夏休み中....
「河童小僧」より 著者:岡本綺堂
あるものだと流石に舌を巻いたと云う。即ち五月の初旬、所謂る降りみ降らずみ五月雨の
晴間なき夕、所用あって赤阪辺まで出向き、その帰途に葵阪へ差掛ると、生憎に雨は烈し....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
に仄々と浮び、梅の実が枝に熟するという五月雨時のことであったが、或夜何気なく雨の
晴間に雨戸を一枚引き開けた庭の景色を眺めていると、築山の裾にぼんやりと袴を着けた....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
朝目よし」 ここ数日はつづいて梅雨時のような天気|工合である。 夕がたに少し
晴間が見えるかと思うと、夜分はまた陰り、明がたには雨がさっと通りすぎる。そして朝....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
れを藤横町ともいわなかったに。 「愛吉、」 と垣の際。上の椿を濡れて出て、雨の
晴間を柳に鳴く、鶯のような声をかけると、いきなり背後から飛びついて、両手を肩へ。....
「旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
念《おも》いなお已《や》み難く頻《しき》りに道祖神にさわがされて霖雨《りんう》の
晴間をうかがい草鞋《わらじ》よ脚半《きゃはん》よと身をつくろいつつ一個の袱包《ふ....
「それから」より 著者:夏目漱石
気に構えていた。三度の食事も旨《うま》く食った。夜も比較的安らかな夢を見た。雨の
晴間には門野を連れて散歩を一二度した。然し宅《うち》からは使も手紙も来なかった。....