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「暁天〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暁天の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
る顔と見えて、案内者は薄明りに、二言三言挨拶をして行き過ぎる。 明け行く夜は、暁天の色を、足柄山脈の矢倉岳に見せて、赤蜻蛉《あかとんぼ》のような雲が、一筋二筋....
仇討三態」より 著者:菊池寛
く慣れてきた。乍入当時の座禅や作務の苦しさが今では夢のように淡く薄れてしまった。暁天の座禅に、とろとろと眠って、巡香の驚策を受くることも数少なくなった。正丑の刻....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
る筈だ。そうして、その花は男の胸から女の髪へ差し換えられる筈だ。そうしてその花は暁天には、二人の交わせた枕の間へ、物憂く凋んで落ちている筈だ」 箏の調べは絶え....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
百俵、漬け物十|樽、酒二|石、※二千枚を武田の陣中に送った。同時に来たる十七日の暁天を期して交戦に及ぼうとの戦書をも送った。ところが耕雲斎は藤田小四郎以下三名の....
十五年間」より 著者:太宰治
であった。私は三度も点呼を受けさせられ、そのたんびに竹槍突撃の猛訓練などがあり、暁天動員だの何だの、そのひまひまに小説を書いて発表すると、それが情報局に、にらま....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
次に覗くと、星どころではない、漆黒の空である、人の心も泣き出しそうになる、しかし暁天までには、焚火のとろとろ火に伴れて、穴へでも落ちたようにグッスリと寝込んでし....
雁坂越」より 著者:幸田露伴
眼には涙も持たずにいた。 その夜源三は眠りかねたが、それでも少年の罪の無さには暁天方になってトロリとした。さて目※む間も無く朝早く目が覚めると、平生の通り朝食....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
業一つを睨みつめて、現世的欲求を棄てて顧みない人物がほしいのである。そんな人格が暁天の星の如く稀であるべきは、元よりいうまでもない。それ丈けそう言った人格は尊い....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
「時に臨める」とあるから、或る機に臨んで作ったものであろう。そして、烏等は、もう暁天になったと告げるけれども、あのように岡の森は未だ静かなのですから、も少しゆっ....
西航日録」より 著者:井上円了
とき観あり。今夕、福島将軍入港の報あれども、帰船後にして相会するを得ず。二十九日暁天解纜、西南に向かいて進行す。船客みな夏装をなし、食時扇風を用う。 三十日(....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
亜号英船に会す。わが船すでに台湾海に入る。 十日、曇晴。順風、波また高からず。暁天、アモイの沖にあり。淡水港と往復の帆船を波間に見る。 波間帆影浮、知是台湾近....
五重塔」より 著者:幸田露伴
れば快楽も一点あらで日を暮らし、暖か味のない夢に物寂びた夜を明かしけるが、お浪|暁天の鐘に眼覚めて猪之と一所に寝たる床よりそっと出づるも、朝風の寒いに火のないう....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。 汝が耳目|壅れり。汝が心胸死せり。 起て、学徒。誓ひて退転せず、 塵界の胸を暁天の光に浴せしめよ。」 (符を観る。) 一々の物が全体に気息を通じて、 物....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
覚悟なれば、悠々として帰心の清興を乱す無く、殊に愈本時刻に入るを喜ぶは、夜行して暁天に近づくを喜ぶに同じく、得意の興趣、水上に投射せる己が影の長きより長し。 ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ぬその眼、眼、眼、眼。 彼らをこそまた、監視所の人間どもは撲殺してまわるのだ。暁天に、月夜に。 しかもまた、彼らの群棲場には一羽のロッペン鳥すら、ああ、頬の....