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暁闇
「暁闇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暁闇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
と見て船を停め、二つあげられた時には安全になった印として再び進まねばならぬのだ。
暁闇を、物々しく立ち騒ぐ風と波との中に、海面低く火花を散らしながら青い炎を放って....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
いようにそっと起き上って窓から外を見た。眼の下には夢で見たとおりのルフィノ寺院が
暁闇の中に厳かな姿を見せていた。クララは扉をあけて柔かい春の空気を快く吸い入れた....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
に、会わしてやろうじゃアねえか。おいらが手引きを……」 「え?」 心《こころ》の
暁闇《ぎょうあん》 一 「え?」 と、涙に濡れた顔を上げた萩乃、左膳は、その夜....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
残りの茶わん酒を汲みかわして、いつか、露が深くなって、それが薄霜のようにも見える
暁闇の浅草田圃を、二人はまた辿《たど》って行った。
吉原がよい専門の、赤竹とい....
「窓」より 著者:鷹野つぎ
に青緑の空と、くれないの旭光とで絢爛を現出するのであった。だが夜明けとなれば既に
暁闇と旭光の織り出す絢爛は消え、一気に一音の合図と一緒かのように、視界は隅なき明....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
誇る最新一等駆逐艦十六隻だ。いや、それだけではない。そのすぐ後方には、水雷戦隊が
暁闇の波浪をのりきって驀進しつつある。そのうちに、灰色の雲間を破って、わが海の荒....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
たかぼうき》をひいて、さっさと木《こ》の間《ま》にかくれて去《い》ってしまった。
暁闇《ぎょうあん》が萩《はぎ》のしずれに漂っていた。小蝶が幾羽《いくつ》もつばさ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
と語り出した。源十郎が、灯心を摘んで油をくれると、ジジジジイと新しい光に、濃い
暁闇《ぎょうあん》が部屋の四隅へ退く。が、障子越しの廊下にたたずんでいる人影には....
「古木」より 著者:豊島与志雄
の焔も衰え、崖から巻き上る焔も衰えました。 大火災の煌々たる明るみの後に、暫し
暁闇がたゆたい、それから、煙と灰に空を蔽われてる盲いたような一日となりました。そ....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
カカカカカカカチン。 いつか石の稽古なんかそっちのけに、ここを先途《せんど》と
暁闇の川中島さして上杉謙信入道を、堂々と進軍させていた。声ももう小声ではなく、い....
「初期詩篇」より 著者:原口統三
天外脱走 日輪は遠く逃げゆく 有明けの天上ふかく 日輪は遠ざかりゆく 仰ぎ見よ
暁闇の空 罪びとの涙もしるく 薄冥の雲間に凍り 日輪は遠く消えゆく 一九四三・十....
「三国志」より 著者:吉川英治
万の軍隊は、曹操の旗じるしを持っている。関羽は、その旗幟を利用して、まだ霧の深い
暁闇の頃、粛々と兵馬を徐州の濠ぎわまですすめて行った。 そして、大音声をあげ、....
「脚」より 著者:吉川英治
、割下水へも、同じようにいっといてくれればいい。……じゃ、お寝み」 閉めると、
暁闇の頭上に、星だけが白かった。彦太は、塀をのりこえた。 きゃッん! 野良犬....
「紫式部」より 著者:長谷川時雨
けてから、蚊帳《かや》のなかでそんなことを考える。 水色の蚊帳ばかりではない、
暁闇《ぎょうあん》ばかりではない。連日の雨に暮れて、雨に明ける日の、空が暗いのだ....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
下って、楓河岸、箱崎河岸と、河岸づたいに、二つの影が一つのように、まだ川面の靄も
暁闇も深い道を、ひた走りに馳けてくる。 「おうっ。お燕ちゃんじゃねえか。ここだよ....