»
暑さ
「暑さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暑さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「良夜」より 著者:饗庭篁村
燈におのが形を示し、棹に砕けてちらめく火影櫓行く跡に白く引く波、見る者として皆な
暑さを忘るる物なるに、まして川風の肌に心地よき、汗に濡れたる単衣をここに始めて乾....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
いた葉を動かそうという風はない。まして、日の光に照りつけられた大路には、あまりの
暑さにめげたせいか、人通りも今はひとしきりとだえて、たださっき通った牛車《ぎっし....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
赤沢
雑木の暗い林を出ると案内者がここが赤沢《あかざわ》ですと言った。
暑さと疲れとで目のくらみかかった自分は今まで下ばかり見て歩いていた。じめじめした....
「或る女」より 著者:有島武郎
九月二十五日の午後であった。きのうの風が凪《な》いでから、気温は急に夏らしい蒸し
暑さに返って、横浜の市街は、疫病にかかって弱りきった労働者が、そぼふる雨の中にぐ....
「或る女」より 著者:有島武郎
が、夏の朝らしく見る見るうちに白い光が窓から容赦なく流れ込んだ。昼になってからの
暑さを予想させるような涼しさが青葉の軽いにおいと共に部屋の中にみちあふれた。愛子....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
る山桜も、辛夷《こぶし》も青々とした広葉になっていた。蒸風呂のような気持ちの悪い
暑さが襲って来て、畑の中の雑草は作物を乗りこえて葎《むぐら》のように延びた。雨の....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
太陽は最頂、物の影が煎りつく様に小さく濃く、それを見てすらぎらぎらと眼が痛む程の
暑さであった。 私は弁当を仕舞ってから、荷船オデッサ丸の舷にぴったりと繋ってあ....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
来ない境だろう。それから水々しく青葉に埋もれてゆく夏、東京あたりと変らない昼間の
暑さ、眼を細めたい程涼しく暮れて行く夜、晴れ日の長い華やかな小春、樹は一つ/\に....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
は火光に燃ゆる第五帯を作りまた 地にも同じく五つの帯の環を巡らしぬ。 中なる帯は
暑さのために住み難く さらばとて外側の帯は氷雪の虐げあり、 ただ残る二帯のみ暖と....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
りました。そこで神学生がまずその役にあたりました。ああ、なんてむんむすることか。
暑さに息がふさがるようでした。蚊がぶん、ぶん、とんで来て刺しました。おもての「ミ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
と傾いたるまま、 「主もそくさいでめでたいぞいの。」 「お天気模様でござるわや。
暑さには喘ぎ、寒さには悩み、のう、時候よければ蛙のように、くらしの蛇に追われるに....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
一 年紀は少いのに、よっぽど好きだと見えて、さもおいしそうに煙草を喫みつつ、……しかし烈しい
暑さに弱って、身も疲れた様子で、炎天の並木の下に憩んでいる学生がある。 まだ二....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
、翌日、水の引際を、炎天の下に、大川|添を見物して、流の末一里|有余、海へ出て、
暑さに泳いだ豪傑がある。 荒海の磯端で、肩を合わせて一息した時、息苦しいほど蒸....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
っしゃらないでは、何をしているの、」 と菅子は立ったままで急込んで云う。戸外の
暑さか、駈込んだせいか、赫と逆上せた顔の色。 胸打騒げる姉夫人、道子がかえって....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
人の、ぴったり戸口へ寄った工合で、鍵のかかっていないことは分っています。こんな蒸
暑さでも心得は心得で、縁も、戸口も、雨戸はぴったり閉っていましたが、そこは古い農....