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「暑熱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暑熱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
一つの枝の先へ這い上った。先には土いきれに凋《しぼ》んだ莟《つぼみ》が、花びらを暑熱に※《ねじ》られながら、かすかに甘い※《におい》を放っていた。雌蜘蛛はそこま....
あらくれ」より 著者:徳田秋声
ながら、乱次《だらし》なく眠っていた。家のなかは、どこも彼処《かしこ》も長い日の暑熱に倦《う》み疲れたような懈《だる》さに浸っていた。 大輪の向日葵《ひまわり....
美少女」より 著者:太宰治
しい仕事をすすめてもう、はや半年すぎてしまった。六月にはいると、盆地特有の猛烈の暑熱が、じりじりやって来て、北国育ちの私は、その仮借《かしゃく》なき、地の底から....
高山の雪」より 著者:小島烏水
来る風が、多量の水蒸気を齎らすのに反して、北は西蔵《チベット》高原から吹きつける暑熱の乾燥した風であるために、南と北では、雪線の差が一千四百米突にも及んでいる、....
遺書」より 著者:尾崎秀実
昭和十九年七月二十六日 尾崎秀実 頓首再拝 竹内老先生 玉案下 追白、一番暑熱の必要なこの頃、この涼しさはお米のことが心配になります。....
真田幸村」より 著者:菊池寛
一同、その辺りの松原を楯として、平伏したまま、退く者はなかった。 始め、幸村は暑熱に兵の弱るのを恐れて、冑も附けさせず、鎗も持たせなかった。かくて、敵軍十町ば....
」より 著者:徳田秋声
…その時病院の方も、紹介してあげますからというお話なんです。」 午後になって、暑熱が加わって来ると、子供は一層弱って来た。そして烈しい息遣いをしながら、おりお....
黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
ー要塞《ようさい》(4)があり、また夏のあいだチャールストンの塵埃《じんあい》と暑熱とをのがれて来る人々の住むみすぼらしい木造の家が何軒かあって、その近くには、....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
かな埃りが舞いあがっているばかりで、地上はまるで汗腺の涸渇した土工の肌のように、暑熱の苦悶に喘いでいるのだ! この太陽のじりじり焼きつける執念深さから、僅かな....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
やがて、自動車の出る合図。 空の旅人を満載した二台の大きな車が、日光・無風・暑熱の場末をクロイドンへ――。 車中、じぶんへの私語。 『どうだい、胸騒ぎはや....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
尼が期待している推摩居士の復活の方が、どうやら真実に近附いて行きそうですわ。この暑熱の些中に、一向腐敗の兆が見えて来ないのですから」 斯うして、法水の努力も遂....
国号の由来」より 著者:喜田貞吉
諺に、「木乃伊採りが木乃伊になる」との語がある。奥州日の本は日出処であるが故に、暑熱甚だしく、その海岸にはこれがために黒焦げになった木乃伊が累々として横たわって....
西航日録」より 著者:井上円了
両岸、送暑去来風、蘇士船将泊、関山夕照紅。 (蘇士運河 砂漠は両岸につらなり、暑熱を送る風が去来する。蘇士に今や船は碇泊しようとし、国境の山々は夕陽に紅く照り....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
なんぞ文化の地と野蛮の地を問題にしようか。梅雨が雷を送る香港の海、ばしょうの風が暑熱を吹き送る呂宋の山、航路は熱帯の地をこえてはじめて涼風起こり、船は珊瑚礁の地....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
万年も続けば続きそうな日の丸の独り口説にいよいよ気を腐らしたものか、または八月の暑熱に倦じて軽い眩暈でも起したものか。うとりうとりと、傍から傍から寝ころんでしま....