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暑苦しい
「暑苦しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暑苦しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死後」より 著者:芥川竜之介
た。それから枕もとの電燈を消し、じきに眠りに落ちてしまった。――
夢の中の僕は
暑苦しい町をSと一しょに歩いていた。砂利を敷いた歩道の幅はやっと一間か九尺しかな....
「ゼラール中尉」より 著者:菊池寛
ちゃになっていた。血の付いたペトンの破片がそこにもここにも散らかっていた。真夏の
暑苦しい砲台の空気のうちに、血腥《ちなまぐさ》い空気が澱《よど》んでいた。そして....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
から火葬場へ通う自動車の行列が頻繁で、絶えず禿山の裾が煙幕のような挨に包まれた、
暑苦しい日の朝だった。 老看護人の鳥山宇吉は、いつものように六時に目を醒すと、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
とろろ汁。すべてお玉の手料理の物で、金兵衛は夕飯に吉左衛門を招いた。 店座敷も
暑苦しいからと、二階を明けひろげて、お玉はそこへ二人の席を設けた。山家風な風呂の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に立って、木造の欄干に倚りかかりながら丑寅の方角に青く光る遠い山を望んだ。どんな
暑苦しい日でも、そこまで行くと風がある。目にある隅田川も彼には江戸の運命と切り離....
「家」より 著者:島崎藤村
まで、勉と一緒に子供を連れて出て来て、東京に世帯を持つように成った。 その晩は
暑苦しい上に、風も無かった。七度目の懐妊した身でいるお雪に取っては、この遽かにや....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
ラヴなどということを考えてみることもあった。「行田文学」にやる新体詩も、その狭い
暑苦しい蚊帳の中で、外のランプの光が蒼い影をすかしてチラチラする机の上で書いた。....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
考えて、努めて涼しそうな気分をよび出すようにして、わたくしはどうにかこうにかこの
暑苦しい汽車旅行を終って、小さい田舎の停車場に降り立ったのは、午後一時に近い頃で....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
のことでありました。 惜しいかなある夏ふとしたことから病みつき、僅か数日にして
暑苦しい倉庫の片隅で、朋輩の看護のうちに淋しく死んで行きました。その頃はまだ寄宿....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
ないが、私はその商売の都合で再び神戸へ行かなければならない事になったので、広島に
暑苦しい一夜をすごして、その明くる日の午前には又もや神戸行きの列車に乗込んだ。残....
「田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
たれた。 二 父は往診に出ていて、まだ帰宅していなかった。 庸介は
暑苦しいので、着て来た洋服をすぐに浴衣に替えた。そして久し振りの挨拶が一通りすむ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
がいてくれたら、どんなに力強いことだろう」 十一月二十七日は、朝からむしむしと
暑苦しい日であった。空は重々たる密雲におおわれて、遠くで雷鳴がいんいんとひびき、....
「謡曲仕舞など」より 著者:上村松園
トも豊富になったらしい様子で、当人は満足しているらしいのです。 日中でも、そう
暑苦しいと感じたことがないのですから京都や大阪あたりからみると非常に涼しいに違い....
「『鉢の子』から『其中庵』まで」より 著者:種田山頭火
、啄木鳥に出逢ったのであった。 私は殆んど捨鉢な気分にさえ堕在していた。憂鬱な
暑苦しい日夜であった。私はどうにかせずにはいられないところまでいっていたのである....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
をやっていた。腰巻一つの女が、茣蓙の上へ、ジカにゴロゴロしているのが見える。――
暑苦しい晩だった。 河堤に出る雑草を分けて行くと、細身の葉が痛く顔に当った。何....