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暖か
「暖か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暖かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
相手の男の顔を、したたか藁沓《わろうず》でふみにじった。
彼は、相手の血が、生
暖かく彼の手にかかったのを感じた。太刀の先が肋《あばら》の骨に触れて、強い抵抗を....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
柘榴口を外へ勢いよくまたいで出た。外には、湯気の間に窓の青空が見え、その青空には
暖かく日を浴びた柿が見える。馬琴は水槽《みずぶね》の前へ来て、心静かに上がり湯を....
「母」より 著者:芥川竜之介
毛糸の球は細い指から、脂《あぶら》よりも白い括《くく》り指へ移った。
「ここは
暖かでございますね。」
敏子は出窓へ歩み出ると、眩《まぶ》しそうにやや眼を細め....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
なり伸ばした手を、鍛冶《かじ》の顔の上へさしかざしますと、見る見る中にその顔が、
暖かく血の色を盛返して、やがて苦しそうな呻《うな》り声さえ、例の泡だらけな口の中....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
いて流れてゆく。
そうしてその紅葉と黄葉との間をもれてくる光がなんとも言えない
暖かさをもらして、見上げると山は私の頭の上にもそびえて、青空の画室のスカイライト....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
うもあの川を愛するのか。あのどちらかと言えば、泥濁《どろにご》りのした大川のなま
暖かい水に、限りないゆかしさを感じるのか。自分ながらも、少しく、その説明に苦しま....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
える。が、樗牛の思索は移っていっても、周囲の景物にはさらに変化らしい変化がない。
暖かい砂の上には、やはり船が何艘《なんそう》も眠っている。さっきから倦《う》まず....
「運」より 著者:芥川竜之介
らも左からも、来たかと思うと、通りぬけてしまう。その中で変らないのは、午後の日が
暖かに春を炙《あぶ》っている、狭い往来の土の色ばかりである。
その人の往来を、....
「夢」より 著者:芥川竜之介
。
わたしの目を醒《さ》ましたのはかれこれ十時に近い頃だった。わたしはゆうべ
暖かったせいか、絨氈の上へのり出していた。が、それよりも気になったのは目の醒める....
「或る女」より 著者:有島武郎
ような顔をして立ちすくんでしまった。
香水や、化粧品や、酒の香をごっちゃにした
暖かいいきれがいきなり古藤に迫ったらしかった。ランプがほの暗いので、部屋のすみず....
「或る女」より 著者:有島武郎
新聞だのが、部屋のすみにはまだ置いたままになっていた。あけ放した障子からかわいた
暖かい光線が畳の表三|分《ぶ》ほどまでさしこんでいる、そこに膝《ひざ》を横くずし....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
えない。彼こそは、実に外面的の冷かなる虚礼虚儀を排して、その代りに、陽の光の如く
暖かなる内面的の愛を、人の心に注ぎ込んだのである。が、当時の当路者達は、イエスを....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
喜雀堂に入る」――僕はペンを持ったまま、その度にこんな言葉を思い出した。 或生
暖かい曇天の午後、僕は或雑貨店へインクを買いに出かけて行った。するとその店に並ん....
「初雪」より 著者:秋田滋
かな波がうち寄せて来て、ざ、ざあッとそれを洗っていた。――うらうらと晴れ亙った、
暖かい日だった。冬とは思われない陽ざしの降り濺ぐ、なまあたたかい小春日和である。....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
し、赤い実が枝もたわわになっている果樹園を見、それにかこまれたヴァン・タッセルの
暖かい家を見ていた。すると、彼の心は、やがてこの領地をうけつぐことになっている乙....