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「暖かい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暖かいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
うもあの川を愛するのか。あのどちらかと言えば、泥濁《どろにご》りのした大川のなま暖かい水に、限りないゆかしさを感じるのか。自分ながらも、少しく、その説明に苦しま....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
える。が、樗牛の思索は移っていっても、周囲の景物にはさらに変化らしい変化がない。暖かい砂の上には、やはり船が何艘《なんそう》も眠っている。さっきから倦《う》まず....
或る女」より 著者:有島武郎
ような顔をして立ちすくんでしまった。 香水や、化粧品や、酒の香をごっちゃにした暖かいいきれがいきなり古藤に迫ったらしかった。ランプがほの暗いので、部屋のすみず....
或る女」より 著者:有島武郎
新聞だのが、部屋のすみにはまだ置いたままになっていた。あけ放した障子からかわいた暖かい光線が畳の表三|分《ぶ》ほどまでさしこんでいる、そこに膝《ひざ》を横くずし....
星座」より 著者:有島武郎
心の奥で、ある喜びがかすかに動くのをどうすることもできなかった。それは何んという暖かい喜びだったろう。その喜びに対する微笑《ほほえ》ましい気持が顔へまで波及《は....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
に燃えて、山ふところの雪までも透明な藤色に染めてしまう。それにしても明け方のこの暖かい光の色に比べて、なんという寒い空の風だ。長い夜のために冷え切った地球は、今....
親子」より 著者:有島武郎
っているのは、彼の歩いて行けそうな道ではなかったけれども、彼はそういう人に対して暖かい心を持たずにはいられなかった。その人を除けものにしておいて、他人にその噂を....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
って言い現わすがいい。 お前は私にこの長い言葉を無駄に云わせてはならない。私は暖かい手を拡げて、お前の来るのを待っているぞよ。 私の個性は私にかく告げてしず....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
照らしたので、そこで一列の神々たちが生れ、その中にはナイルの神のオシリスもいた。暖かい日光の下に、あらゆる生けるもの、すなわち、植物も動物も人間も発達した。ある....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ろしました。 (や、えいとこさ。)と、草鞋の裏が空へ飜るまで、山端へどっしりと、暖かい木の葉に腰を落した。 間拍子もきっかけも渡らねえから、ソレ向うの嶽の雪を....
」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
声を聞くものは、譬えば闇の夜が吐く溜息を聞くかと思った。その声を聞けば、何となく暖かい家が慕わしくなる。愛想のある女の胸が慕わしくなる。犬は吠え続けた。 (明治四十三年一月)....
燕と王子」より 著者:有島武郎
燕という鳥は所をさだめず飛びまわる鳥で、暖かい所を見つけておひっこしをいたします。今は日本が暖かいからおもてに出てごらん....
歯車」より 著者:芥川竜之介
喜雀堂に入る」――僕はペンを持ったまま、その度にこんな言葉を思い出した。 或生暖かい曇天の午後、僕は或雑貨店へインクを買いに出かけて行った。するとその店に並ん....
初雪」より 著者:秋田滋
かな波がうち寄せて来て、ざ、ざあッとそれを洗っていた。――うらうらと晴れ亙った、暖かい日だった。冬とは思われない陽ざしの降り濺ぐ、なまあたたかい小春日和である。....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
し、赤い実が枝もたわわになっている果樹園を見、それにかこまれたヴァン・タッセルの暖かい家を見ていた。すると、彼の心は、やがてこの領地をうけつぐことになっている乙....