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「暖国〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暖国の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
求馬は甚太夫喜三郎の二人と共に、父平太郎の初七日《しょなぬか》をすますと、もう暖国の桜は散り過ぎた熊本《くまもと》の城下を後にした。 一 ....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
かも形は、疑うべくもない癩潰瘍《らいかいよう》だった。現に仏医ショアベーの名著『暖国の疾病』を操ってみれば判るとおりで、それにある奇形癩の標本を、いちいち稚市《....
」より 著者:島崎藤村
うな、濃い、黒ずんだ蜜柑畠《みかんばたけ》が見られる。寒い方からやって来たお新は暖国らしい空気を楽しそうに呼吸した。彼女は山本さんと一緒に、明るい日あたりを眺め....
春の鳥」より 著者:国木田独歩
りました、六蔵を連れてと思いましたが、姿が見えなかったのです。 冬ながら九州は暖国ゆえ、天気さえよければごく暖かで、空気は澄んでいるし、山登りにはかえって冬が....
十二支考」より 著者:南方熊楠
は北方寒地の人体にのみ無害故しかりと言わんか。ヘロドトスが言った通り、ペルシアは暖国だがその人誕生祝いに馬肉を饗し、また全《まる》で馬、驢、駱駝を烹《に》用いて....
九州の東海岸」より 著者:宮本百合子
に思っていたから、自然でも随分思いがけぬ優しさ、明るさにおどろいた。雪の降らない暖国では樹木がこうも、さやさや軽く真直ぐ育つものか。かえりに京都へ寄り、急に思い....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
来は取り払われ波|平かの浪華の海、住吉の入江が見渡された。頃は極月二十日の午後、暖国のこととて日射し暖かに、白砂青松相映じ、心ゆくばかりの景色である。 太刀取....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
く。 「ああ蘭人か」 と呟いて紋太郎がぼんやり佇んだ。 もう四辺は夕暮れて、暖国の蒼い空高く円い月が差し上った。 その時一人の侍が門を潜ってあらわれた。 ....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
倒れ、というそうな。 阿波では飲食店、土佐では酒を売る店が多すぎる! 土佐は南国暖国、秋のおわりに、豆苗が伸び、胡瓜がたくさんぶらさがっている、よい国だ。 今度....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
、自ら不思議な住居を建て、隙さえあれば山野の中にただ一人で分入るのであった。 「暖国には樹上の家、寒国には土中の室、神代には皆それであった」 土地の者にも土室....
香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
頃から水温が高くなるので、鮎が海からくる季節が早い。これらの川で探る鮎の餌釣りは暖国四国の餌釣りと共に、微妙な感覚を糸の揺曳に見る。 六 伊豆の狩野川の....
すっぽん」より 著者:佐藤垢石
匹も鈎に食いついている。このすっぽんは、その置き鈎で捕ったものだ。 すっぽんは暖国を好むものと見えて、四国、中国、九州地方に多い。関東から東北地方へかけては、....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
aticum L. var. japonicum Baker の学名を有し、我国暖国の海浜に野生している。葉は多数叢生して開出し、長広な披針形を成し、質厚く緑色....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
に紅き薔薇花をさす。青白き少年の仮面を冠る。 独白―― レモンの花の咲く南方の暖国はここであります。黄昏は薔薇色の光を長く西の空に保ち、海には濃き藍の面を鴎が....
」より 著者:中谷宇吉郎
て有名であり、かつ日本ではこの種の文献が殆どない点で珍重されているものであるが、暖国の人には想像もつかぬ事柄が描かれている。 「左伝《さでん》に平地尺に盈《みつ....