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暖簾
「暖簾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暖簾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
口《ざくろぐち》の内外《うちそと》は、すべてがまるで戦場のように騒々しい。そこへ
暖簾《のれん》をくぐって、商人《あきうど》が来る。物貰《ものもら》いが来る。客の....
「路上」より 著者:芥川竜之介
アンじゃない。到る処の珈琲店《カッフェ》、酒場《バア》、ないしは下《くだ》って縄
暖簾《なわのれん》の類《たぐい》まで、ことごとく僕の御馴染《おなじみ》なんだ。」....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
から、権助《ごんすけ》とだけ伝わっています。
権助は口入《くちい》れ屋《や》の
暖簾《のれん》をくぐると、煙管《きせる》を啣《くわ》えていた番頭に、こう口の世話....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
物足りなかった。するとそこに洋食屋が一軒、片側《かたかわ》を照らした月明りに白い
暖簾《のれん》を垂らしていた。この店の噂は保吉さえも何度か聞かされた事があった。....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ぎ》を一つ平げて、往来の日足が消えた時分、まるで人目を忍ぶ落人のように、こっそり
暖簾《のれん》から外へ出ました。するとその外へ出た所を、追いすがるごとくさっと来....
「或る女」より 著者:有島武郎
「鼻血なの」
と応《こた》えながら葉子は初めてのようにあたりを見た。そこには紺
暖簾《こんのれん》を所せまくかけ渡した紙屋の小店があった。葉子は取りあえずそこに....
「星座」より 著者:有島武郎
いた。昼間見たら垢光《あかびか》りがしているだろうと思われるような、厚織りの紺の
暖簾《のれん》を潜《くぐ》った。白官舎のとは反対に、新しくはあるけれども、踏むた....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
渦《うず》を巻いた真中に、俵藤太《たわらとうだ》が、弓矢を挟《はさ》んで身構えた
暖簾《のれん》が、ただ、男、女と上へ割って、柳湯《やなぎゆ》、と白抜きのに懸替《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
紅、靡いたのは、夫人の褄と軒の鯛で、鯛は恵比寿が引抱えた処の絵を、色は褪せたが紺
暖簾に染めて掛けた、一軒(御染物処)があったのである。 廂から突出した物干棹に....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
だった。しかし主人は標札によれば、加藤清正に違いなかった。のみならずまだ新しい紺
暖簾の紋も蛇の目だった。僕らは時々この店へ主人の清正を覗きに行った。清正は短い顋....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
続き。で、一二軒、八百屋、駄菓子屋の店は見えたが、鴉も居らなければ犬も居らぬ。縄
暖簾も居酒屋めく米屋の店に、コトンと音をさせて鶏が一羽|歩行いていたが、通りかか....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
この奥に目あり霞めり。――徒らに鼻が隆く目の窪んだ処から、まだ娑婆気のある頃は、
暖簾にも看板にも(目あり)とかいて、煎餅を焼いて売りもした。「目あり煎餅」勝負事....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
きたいなあ。」 やがて、水の流を前にして、眩い日南の糸桜に、燦々と雪の咲いた、
暖簾の藍もぱっと明い、桜湯の前へ立った。 「糸ちゃん、望みが叶うと、よ、もやいの....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
厭な、あいかわらずね……」 お桂さんが引返そうとした時、歩手前の店のは、白張の
暖簾のような汚れた天蓋から、捌髪の垂れ下った中に、藍色の片頬に、薄目を開けて、片....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
ら、一月と纏めてわずかばかりの額ではないので、毎々|借越にのみなるのであったが、
暖簾名の婦人と肩を並べるほど売れるので、内証で悪い顔もしないで無心に応じてはいた....