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「暗澹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暗澹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
く縁日の見世物に出る蜘蛛男《くもおとこ》と云うものを聯想させた。が、その感じから暗澹たる色彩を奪ったのは、ほとんど美しいとでも形容したい、光《ひかり》滑々《かつ....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
革命を重ねたとしても、我我人間の生活は「選ばれたる少数」を除きさえすれば、いつも暗澹《あんたん》としている筈《はず》である。しかも「選ばれたる少数」とは「阿呆と....
或る女」より 著者:有島武郎
て始めた。どこにか春をほのめかすような日が来たりしたあとなので、ことさら世の中が暗澹《あんたん》と見えた。雪でもまくしかけて来そうに底冷えがするので、葉子は茶の....
ある宇宙塵の秘密」より 著者:海野十三
ドイツから持ってきたロケットはすでに成層圏のあたりに、かすかな白光の尾を残して、暗澹たる宇宙に飛び去るところであった。 この椿事は、まもなく私の下宿にもきこえ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
て来て見ろ!」 ワッというと、誰も彼もが、表へとびだした。 なるほど、今まで暗澹としていた空間に、あちこちと、馴染のある電灯が、輝きだした。電灯が点いてみる....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、解剖台の上を懐中電灯で照らしている者があった。が、それはすぐ消えて、室内はまた暗澹の中に沈んだ。その代り、なにか重いものを引擦るようにゴソリゴソリという気味の....
怪星ガン」より 著者:海野十三
は、部署をはなれて、空間漂流器をすばやく身体にとりつけると、艇外へ飛びだした。黒暗澹たる死のような空間へ……。 爆発原因 帆村は、手に汗をにぎって、映写....
恐竜島」より 著者:海野十三
やら。玉太郎は水筒《すいとう》一つ、缶詰一つもちあわせていない。前途を考えると。暗澹《あんたん》たるものであった。 熱帯の太陽 腹もへった。 のどもか....
空中漂流一週間」より 著者:海野十三
ら、もう見えてもよさそうなものだが……」 と、「火の玉」少尉は、上を指した。黒暗澹たる闇をぬって、三つの飛行機|標識灯がうごいていく。それはだんだんこっちへ近....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
とびだした軽快な一台の艦載飛行機! それこそ柳下空曹長の操縦する一号機であった。暗澹たる空中に、母艦をとびだした艦載機の爆音が遠ざかって行った。 「柳下、しっか....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
びのった。すると機械人間は彼の一念に随って走りだした。ヒューヒューと風を切って、暗澹たる甲州街道を江戸の方へ向って飛ぶように走っていった。 死闘 やがて....
南地心中」より 著者:泉鏡花
てもいたのに、……水には帆の影も澄んだのに、……どうしてその時、大阪城の空ばかり暗澹として曇ったろう。 「ああ、あの雲だ。」 と初阪は橋の北詰に、ひしひしと並....
黒百合」より 著者:泉鏡花
上へ、一束の紙幣を投げて、黙っててくんねえ、人に言っちゃ悪いぜとばかり、たちまち暗澹たる夜色は黒い布の中へ、機敏迅速な姿を隠そうとしたのは昨夜の少年。四辺に人が....
初雪」より 著者:秋田滋
は日の暮れがたになると、その鴉の群を眺めた。そして荒寥たる土地のうえに落ちて来る暗澹たる夜の淋しさをひしひしと感じて、胸を緊められるような思いがするのだった。 ....
戦争責任者の問題」より 著者:伊丹万作
された気でいる多くの人々の安易きわまる態度を見るとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感ぜざるを得ない。 「だまされていた」といつて平気でいられる国民な....