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暗然
「暗然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暗然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
近と左太夫との二人が、時刻を前後して腹を割《さ》いて死んだという知らせを聞いて、
暗然たる心持にならずにはいられなかった。 忠直卿は、つくづく考えた。自分と彼ら....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
なので、ことを運ぶのが容易でござりませぬ」 「なるほど……」そう答えて、新一郎は
暗然としてしまった。 新一郎は、名乗って討たれてやろうかと思った。しかし、新一....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
まさか自分の血潮を啜ろうとは思っていなかったでしょうに……」 といって、一郎は
暗然と涙を嚥んだ。そして懐中を探ぐると一と揃いの覆面を出して、ソッとジュリアの枕....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
、頭部裂傷にて憤死した。その旨夫人愛子さんより悲歎の言葉を以て通知あり、驚愕且つ
暗然とした。 同じく級友小野君も東松原線にてレールヘ落ち頭に裂傷を負いし由。 ....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
、オバ○!」 不意の声をたてたのは反対側の車窓から氏を見た子供であった。葉子は
暗然として息を呑んだ。 「すっかり、やられたんだな。」 葉子の良人も独言のよう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
眼を円くしながら、鍵の下りた扉を開いたが、法水のみは正面の壁に背を凭せたままで、
暗然と宙を瞶めている。が、やがて呟くような微かな声で云った。
「支倉君、拱廊へ行....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
士の怪無電が……やっと、ヴェールを除ろうとすればもうこの始末。可哀想にと、折竹も
暗然と死骸をみている。 ルチアノめ「|冥路の国」になにを狙っている※ 何を何を....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
あなたのことばかり気にして考えこんでいらっしゃるんですもの」 川上機関大尉は、
暗然と涙をのんだ。 「しかしあなたさまが御健在と知ったら、杉田さんはどんなに力が....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
ぬような仕儀で……」 「なに、この一年も無駄骨だったと申すか……」 と、帯刀は
暗然として腕を拱いた。 高松半之丞というのは、帯刀から云えば、亡友高松半左衛門....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
う犯人の意図が含まれているのだろう?」 「ウン、全くあれには惑殺されるよ」熊城も
暗然となって呟いた。「それ迄僕は、てっきり犯人の変装だと信じていたのだが、あれに....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
も分らないわ。」酔っぱらっている故もあろうが、姉を姉とも思わぬ不敵な妹に、新子は
暗然となって、もう口が利けなくなった。 「お姉様ア。なぜ黙っていらっしゃるのオ。....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
はおりませぬ。ほかに一人の妹がありましたが、これも世を去りました。」 と、僧は
暗然として仏壇をみかえった。 「どなたもお留守のあいだに、お亡くなりになったので....
「勝負師」より 著者:織田作之助
坂田の棋士としての運命もこの時尽きてしまったかと思われた。私は坂田の胸中を想って
暗然とした。同時に私はひそかにわが師とすがった坂田の自信がこんなに脆いものであっ....
「東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
抜けて、折角名人位挑戦者になりながら、病身ゆえに惨敗した神田八段の胸中を想って、
暗然とした。 東京の大阪に対する反感はかくの如きものであるか。しかし、私はこれ....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
多可子はこの病には若くて瑞々しい者ほど抵抗力がないと云った医師の言葉を思い出して
暗然とした。 政枝にはいろんな事が気になった。今日も裏の材木堀の向うに在る製板....