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暗紫色
「暗紫色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暗紫色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂言の神」より 著者:太宰治
ときの己れの顔を知っていたのだ。はっきりと、この眼に見えるのであった。顔一めんが
暗紫色、口の両すみから真白い泡《あわ》を吹いている。この顔とそっくりそのままのふ....
「癩」より 著者:島木健作
は見えがたくなった今は、かえって逆にひどく間の抜けた感じをさえ与えるのであった。
暗紫色に腫れあがった顔は無気味な光沢を持ち、片方の眼は腫れふさがって細く小さくな....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
。浅間も次第に暮れ、紫色に夕映した山々は何時しか暗い鉛色と成って、唯白い煙のみが
暗紫色の空に望まれた。急に野面がパッと明るく成ったかと思うと、復た響き渡る鐘の音....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
突破しました」 「はい、了解」 白昼だというのに、窓外はもうすっかり暗い。窓は
暗紫色である。太陽は輝いているが、空はすこしも明かるくないのだ。だから、あれは太....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
てて泡立ち、少量の水蒸気を発散しだした。と同時に、その沸騰が止んで、その化合物は
暗紫色にかわり、それがまた前よりは少しずつ薄い緑色に色があせていった。こういう変....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
の手を眺めているようで、人間の皮膚の色として、想像しうる色ではない。爪の色も同じ
暗紫色に変っている。私はもう男でもなくなったし、常の皮膚の色まで永久に失ったのか....
「成層圏飛行と私のメモ」より 著者:海野十三
白昼でもまず十キロのあたりでは、空が暗青色となり、それからだんだん暗さを増して、
暗紫色となり、二十キロを超えるころには黒紫色となり、それ以上は黒灰色になって、わ....
「或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
ら六七町ほどの丘の中腹に竹駒稲荷の祠があった。秋は黄褐色、冬は灰鼠の色に、春先は
暗紫色になり、そして春の終わりから夏の終わりまでは一色の緑を刷く雑木林の丘だった....
「外務大臣の死」より 著者:小酒井不木
な動機があったのだと知って松島氏は恐怖に近い感じを起した。 見ると、総監の唇は
暗紫色を帯び、顔に苦悶の表情があらわれたので、松島氏は隣室に退いた人々を呼びに行....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
と、金色燦爛などとは、まっかのいつわり。ただ、ふにゃふにゃした血みどろのような、
暗紫色の塊が二つ鼻持ちならぬ悪臭を放っているだけだ。 一益の激怒は、ここに説明....
「鯛と赤蛸」より 著者:佐藤垢石
かった。産卵のために外洋から、この湾内へ乗っ込んできたものらしく、くびと背の鱗に
暗紫色の艶がういていた。 釣った鯛と、カズラ網で捕った鯛と違うところは、尾であ....
「春」より 著者:岡本かの子
を抑え和めていた。 京子の頭上の電燈は、先刻加奈子が部屋を出る時かぶせて行った
暗紫色の覆いを透して、ほの暗い光をにじみ出している。 京子は突然起き上った。蒲....
「拷問の話」より 著者:岡本綺堂
平た張り伏しているのである。この拷問をうけるものは、はじめは惣身が赤くなり、更に
暗紫色に変じて冷汗をしきりに流し、それがまた蒼白に変じるときは即ち絶命する時であ....
「涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
。自分たちの右手の高きには前穂高の巓がなおさっきの夕焼の余燼で灼やいて、その濃い
暗紫色の陰影は千人岩の頭のうえまでものびていた。そしてはるかの谷にはすでに陰暗な....
「果物の幻想」より 著者:小川未明
巴旦杏を枕許に置いてくれました。私は熱のため、頭痛がするのを床の上に起き直って、
暗紫色にうまそうな水をたゝえた果物を頬につけたり接吻したりしました。 その時、....