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「暗色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暗色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
せま》ってる鋼色《はがねいろ》の沈黙した大空が、際限もない羽をたれたように、同じ暗色の海原に続く所から波がわいて、闇《やみ》の中をのたうちまろびながら、見渡す限....
海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
いた。そして、彼の寝間着が、上にかけられた。 ボーイ長の右手と右の肺の部分に紫暗色の打撲傷ができていた。そして左足の拇指《ぼし》が砕けていた。 ストーブがな....
一兵卒」より 著者:田山花袋
ほかにある別種の官能の力が加わったかと思った。暗かった室がそれとはっきり見える。暗色の壁に添うて高いテーブルが置いてある。上に白いのは確かに紙だ。ガラス窓の半分....
田舎教師」より 著者:田山花袋
城から日光連山が環をなして続いた。秩父の雲の明色の多いのに引きかえて、日光の雲は暗色が多かった、かれは青田を越えて、向こうの榛の並木のあたりまで行った。野良の仕....
黒猫」より 著者:島木健作
がわれぬことはなかった。頭と胴とで一米に近く、毛色は赤味を帯びた暗灰色で、円形の暗色|斑文が散らばっているという。毛は長くはないが、いかにももっさりと厚い感じだ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
で、何だかかたまって遊んでいるのがバスの上から見えました。もうそのあたりから、緑暗色の外見は実に陰鬱なコンクリートの高さ一丈、底辺の厚み三尺三寸とかいう高壁が蜒....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
しい顔は病気のために少し痩せてはいるけれど、にこにこしていた。睫《まつげ》の長い暗色の大きな目には、なんとなく悪戯《いたずら》らしい光りがあった。母は春ごろから....
丘の上」より 著者:豊島与志雄
ない、妙に淋しい畑地だった。遠くに一筋の街道が、白々と横たわっていた。その彼方、暗色に茫とかすんでる先に、帯を引いたような、きらきら光ってる海が見えていた。 ....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
のものに、附会けていたんだがね」 と何げなく云ったけれども、その眼はただならぬ暗色を湛え、ギロリと六人の車座を見まわした。 明敏な読者諸君は、すでに気付かれ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
が、礫《つぶて》のように、正面から飛びかかって来たのを見た。一木の両手の中に、紫暗色をして、縮んでいた刀が、きえーっ、と、風を切って、生物の如く叫びながら、さっ....
」より 著者:カフカフランツ
。すると、服が戸棚の幅いっぱい、奥行いっぱいにぎっしりとつまっていた。たいていは暗色と灰色と赤色と黒の服で、すべて念入りにかけてあり、拡げてあった。 「みんなわ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
蒸餾して、下弦の月の夜に旨くお塗なさい。 春になってから、斑は出なくなりますよ。暗色の女 まあ、あなた一人をみんなで取り巻きますこと。 わたくしにもお薬を下さい....
痴人と死と」より 著者:ホーフマンスタールフーゴー・フォン
その中《うち》に骨董《こっとう》を陳列す。壁にそいて右の方《かた》にゴチック式の暗色の櫃《ひつ》あり。この櫃には木彫《もくちょう》の装飾をなしあり。櫃の上に古風....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
天を彩れる夕映の名残も、全く消え果て、星の光は有りとは言へ、水面は、空闊にして、暗色四面を鎖し、いよいよ我が船の小なるを想うのみ。眼に入るものは、二三の漁火の星....
」より 著者:神西清
作に、柔らか味を与えていた。かつて一目みただけで私の胸を燃え立たせた彼女の美しい暗色の髪は、いま長いあいだうつ向いて坐っていたのでほつれて、乱れたさまを見せてい....