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暗雲
「暗雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暗雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仮装観桜会」より 著者:佐左木俊郎
平氏はじっとしてはいられなくなってきた。 彼はいろいろと考えた。嵐《あらし》の
暗雲を孕《はら》んで物凄《ものすご》いまでに沈滞した前田鉄工場! それに対してい....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
「アラ、まだそんなことを云って……。いいわ、あたし斯うなれば修道院に入りたい!」
暗雲低迷する空の下、情熱に燃えたこの断末魔のモガの媚態はいつまでも続いたが、その....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
事を初め神楽坂署員一同の不安と焦燥のうちにその夜は明けた。 翌朝も前日のように
暗雲低く飛んで時に薄日の差すような陰鬱な日だった。前日の大型自動車には新しく乗り....
「恐竜島」より 著者:海野十三
しずかな青い海の上を、モンパパ号は大いばりで進んでいった。またあるときは、ひくい
暗雲《あんうん》の下に、帆柱のうえにまでとどく荒れ狂う怒濤《どとう》をかぶりなが....
「東京要塞」より 著者:海野十三
もな話だなあ」 忠魂塔 その当時、極東には国際問題をめぐって、ただならぬ
暗雲が立ちこめていた。 中国大陸には、大きな戦争が続いていたし、その戦争に捲き....
「鵞鳥」より 著者:幸田露伴
めでたいことじゃありませんかネ、ハハハ。」 と朗かに笑った。ここの細君は今はもう
暗雲を一掃されてしまって、そこは女だ、ただもう喜びと安心とを心配の代りに得て、大....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
るが、うっとりと覚めしもののごとく涼しき眼の中曇を帯びて、見るに俤晴やかならず、
暗雲一帯|眉宇をかすめて、渠は何をか物思える。 根上りに結いたる円髷の鬢頬に乱....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
は思われず。渠は非職海軍大佐某氏の息、理学士の学位あって、しかも父とともに社会の
暗雲に蔽われた、一座の兇星であるものを! 五十一 慶造は言効なし....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
位であった。霊達の世迷言は全く同情に値する。 翻って日本の現状を観ると、今尚お
暗雲低迷、一方に古経典の講義でもすることが、信仰上の最大急務と思い込んで居るもの....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
したで、まったくの孤独だった。いとしい、お姉さまの方子は療養所に奪われ、疑惑と、
暗雲のなかでやっと息ついていた。 ところが、それから一年後のことであった。末起....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
さて、一時の微光のためにサン・タントワヌの聖なる御顔から★払い除けられていた
暗雲が、またサン・タントワヌにかかってしまったので、そこの暗さはひどくなった。―....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
だった。 もしやしたら、この壮麗を極めた沙翁記念劇場の上に、開場早々容易ならぬ
暗雲が漂っているのではないか――そうした怖れを浸々と感ずるほどに、この劇場は、既....
「太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
く、顔色青ざめて、五体を慄わしておる、されどその答は、却って聴衆の胸中に、さらに
暗雲を漲らしむるに過ぎなかった、しかり全く絶望的の断案は下されたのである。 「君....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
が自分の抱懐の一つである、」云々。 果して二葉亭のいう如くその頃の日露国民間に
暗雲が低迷していたか否かは別であるが、国家を憂うる赤誠はこの一場の卓上話の端にも....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
輝かしい勇気と徳性をもって、邪悪な敵意が伯爵の比類なき勲功に向かって湧きたたせた
暗雲を一掃された。それで、あの古ギツネはしっぽを垂れて、クンクン啼かざるをえなか....