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「暗鬱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暗鬱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
梓川の上流」より 著者:小島烏水
、どの石も、どの石も、苔が多い、苔の尖った先には、一粒ずつの露の玉を宿している、暗鬱な森の重々しい空気は、白樺の性根の失せて脆《もろ》い枝や、柔嫩《じゅうなん》....
狂言の神」より 著者:太宰治
間を、私は幸福に使いたかった。ごっとん、ごっとん、のろすぎる電車にゆられながら、暗鬱でもない、荒涼でもない、孤独の極でもない、智慧《ちえ》の果でもない、狂乱でも....
筧の話」より 著者:梶井基次郎
さは私を切なくした。そして深祕はだんだん深まってゆくのだった。私に課せられている暗鬱な周囲のなかで、やがてそれは幻聴のように鳴りはじめた。束《つか》の間の閃光《....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
してください) 紀久子はそう心の中に呟きながら、黙りつづけていた。 窓の外は暗鬱な曇天がしだいに暗く灰色を帯びて、ストーブが真っ赤に焼けてきた。真っ赤なスト....
食魔」より 著者:岡本かの子
げに至るまで、上品や下品の遊びに連れて歩るいた。そこでも、味い剰すがゆえにいつも暗鬱な未練を残している人間と、飽和に達するがゆえに明色の恬淡に冴る人間とは極端な....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の中には、アカンサス形をした台のある燭台が、ポツリと一つ点されているのみで、その暗鬱な雰囲気は、著作をする時の鎮子の習慣であるらしかった。しかし彼女は、いっこう....
故郷」より 著者:太宰治
持って、私たちは金木行の汽車に乗った。中畑さんも一緒に乗った。 刻一刻、気持が暗鬱になった。みんないい人なのだ。誰も、わるい人はいないのだ。私ひとりが過去に於....
地上」より 著者:島田清次郎
時計が、午前十時の音をごおん/\と響かせた。家のいっぱいに混沌とした濁った眠りが暗鬱にとざされている。さっき中途で眼を醒まして卵酒でいっぱい引っかけていた主人も....
文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
かシックとか――いうようなものは、元より求むべくもありませんが、明朗であるよりも暗鬱である方が、軽快であるよりも鈍重である方が、さらに遙かに芸術的陰影を深めてい....
チェーホフ試論」より 著者:神西清
る実例をわれわれは十分に見て来たはずだ。また、チェーホフには非常な快活さと非常な暗鬱さとが刻々に交替する癖があった、という友人たちの証言にも接している。この「陽....
「可愛い女 犬を連れた奥さん 他一編」あとがき」より 著者:神西清
この三つの作品にもとりどりの色合いで反映を見せている。その一面、作家チェーホフの暗鬱をきわめる精神の内部にようやく一脈の微光がさしそめて、未来の日の希望へと見開....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
閃き、聞き馴れたあの高らかな笑い声が、白宮殿に鳴り渡るのだった。が、やがてまた、暗鬱な時間は流れ戻る――生活の恵んでくれるなにもかもが苦くなる。野蛮な喚き、そし....
」より 著者:岡本かの子
離れのしている母子風景が好きだった。 霙で、電燈の灯もうるむかと思われるような暗鬱な冬の夕暮であった。蓑吉は本宅の茶の間の炬燵へちょこなんと這入って、しきりに....
三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
の上や人形の肌などにまで淡い緑の影がうらうらと動くような季節になると、西谷は酷く暗鬱になって来た。極度の神経衰弱らしかった。学校では最早、解剖などもやっているら....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
がりたい私の心もちはすっかり裏切られた。 全く私は北海道の旅館といえば、もっと暗鬱で、女中などはアイヌ見たようなのがいて、言葉も碌に通じはしまいと、迂闊にも思....