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暢
「暢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
えだ》とすれすれになって茂《しげみ》の中に見えなくなった。
(どッこいしょ、)と
暢気《のんき》なかけ声で、その流の石の上を飛々《とびとび》に伝って来たのは、茣蓙....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
こ》が言った。差当《さしあた》り何の用もない。何年にも幾日《いくか》にも、こんな
暢気《のんき》な事は覚えぬ。おんぶするならしてくれ、で、些《ち》と他愛《たわい》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
隧道を出切る時分、食堂の中に椅子を占めて、卓子は別であるが、一|人外国の客と、流
暢に独逸語を交えて、自在に談話しつつある青年の旅客があった。 こなたの卓子に、....
「親子」より 著者:有島武郎
なりませんか。矢部氏も明日は早くここに着くことになっていますし」 それが父には
暢気な言いごとと聞こえるのも彼は承知していないではなかった。父ははたして内訌して....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
なしには私達は自分の心を語る事が出来ない。恋人の耳にささやかれる言葉はいつでも流
暢であるためしがない。心から心に通う為めには、何んという不完全な乗り物に私達は乗....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
る力の圧迫にでも促された様に、急に「うん、そうだ」と独言を云って、又其の奇怪な流
暢な口辞を振い始めた。 処が世の中は芝居で固めてあるんだ。右の手で金を出すてえ....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
を知っていた。そして迷子になったか、魔に捉られたか、知れもしないのに、稚な者は、
暢気じゃありませんか。 それが既に気が変になっていたからであろうも知れんが、お....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
ゃ……と居士も、巾着じめの煙草入の口を解いて、葡萄に栗鼠を高彫した銀|煙管で、悠
暢としてうまそうに喫んでいました。 目の前へ――水が、向う岸から両岐に尖って切....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
、と私は思わず慄然とした。 室内は寂然した。彼の言は、明晰に、口|吃しつつも流
暢沈着であった。この独白に対して、汽車の轟は、一種のオオケストラを聞くがごときも....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
て、疑はさらりとなくなったばかりであるから、気の毒らしい、と自分で思うほど一向な
暢気。 「早附木は? 叔母さん。」と魅せられたものの背中を一つ、トンと打つような....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
のだって、言いますから。」 主人の医学士は、実は健康を損ねたため、保養かたがた
暢気を専一に、ここに業を開いているのであるが、久しぶりのこの都の客と、対談が発奮....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
組み、日に向ったのは額に手笠で、対向って二人――年紀も同じ程な六十左右の婆々が、
暢気らしく、我が背戸に出たような顔色して立っていた。 山逕の磽※、以前こそあれ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
さし入る影のきれぎれな板敷の上へ坐ってしまうと、 「灯を消しましたね。」とお化の
暢気さ。 橋ぞろえ 五 「さあ、おい、起きないか起きな....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
である。 小山夏吉の手紙は、この意味を―― 「おもいの外、瓜吉(渾名をいう)は
暢気だぜ。」 皆云っていたが、小山夏吉は帰らない。 なお手紙によると、再び可....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
い、」 親仁は大口を開いて、啣えた煙管を吐出すばかりに、 「ははははは、」 「
暢気じゃあ困るぜ、ちっと精を出しねえな。」 「一言もござりませんね、ははははは。....