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暫時
「暫時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暫時の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「魔術」より 著者:芥川竜之介
の上から書棚の中へ舞い戻ってしまっていたのです。私は夢からさめたような心もちで、
暫時《ざんじ》は挨拶さえ出来ませんでしたが、その内にさっきミスラ君の言った、「私....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
ると、多分女の死骸であろう。
下人は、六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、
暫時《ざんじ》は呼吸《いき》をするのさえ忘れていた。旧記の記者の語を借りれば、「....
「或る女」より 著者:有島武郎
性《すじょう》がそのあわてかたに充分に見えすいていた。博士は見下したような態度で
暫時その青年のどぎまぎした様子を見ていたが、返事を待ちかねて、事務長のほうを向こ....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
さと》は、と一目見ると、石を置いた屋根より、赤く塗った柱より、先ずその山を見て、
暫時《しばらく》茫然《ぼうぜん》として彳《たたず》んだのは、つい二、三日前の事で....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
て町々を巡廻し出して、やたらに威張り散し、大いに迷惑がられたものでしたが、これは
暫時で廃されてしまった。その番兵の前からポリスというものがあって、これが邏卒とな....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
の小児が袖を結って水悪戯に掻き廻す。……やどかりも、うようよいる。が、真夏などは
暫時の汐の絶間にも乾き果てる、壁のように固まり着いて、稲妻の亀裂が入る。さっと一....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
に砕け、一塊の鮮血、あら土にしぶき流れ、降積りたる雹を染め候が、赤き霜柱の如く、
暫時は消えもやらず有之候よし、貧道など口にいたし候もいかが、相頼まれ申候ことづて....
「薬」より 著者:井上紅梅
、あとから頸を延ばして、さながら無形の手が彼等の頭を引張っているようでもあった。
暫時静かであった。ふと何か、音がしたようでもあった。すると彼等はたちまち騒ぎ出し....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
。 私は抽斗をあけると黄ろく色の変った紙片がうず高く積みあがっているのを見て、
暫時は途方に暮れたが、やがてその中から一枚の紙片をとりあげた。 ああ、もしも諸....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
その大意を語られしに、翁は非常に喜び、善くも書かれたり、ゆるゆる熟読したきにつき
暫時拝借を請うとありければ、その稿本を翁の許に留めて帰られしという。木村氏といい....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
へ御入院という事は、まったく、今朝はじめて聞いて一驚を吃しました。勿論社の方へは
暫時御無沙汰、そんなこんなで、ちっとも存じませんで、大失礼。そこで、すぐにお見舞....
「妖怪学」より 著者:井上円了
を述ぶるに、テーブルの周囲に数人相集まり、おのおの手を出して軽くテーブルに触れ、
暫時にして、その回転を見るに至るなり。また、テーブルに向かって種々のことを問答す....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
ね、これに盆あるいは飯櫃の蓋を載せ、その上に布を加え、三人にて三方より手を掛け、
暫時にして神の来臨ありと称し、それより禍福吉凶、その他いかなることがらにても、こ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
財産も我が所有にはならず、千円という大金、今といっては致方がございません。どうぞ
暫時の処を御勘弁。「うんや、ならねえ。この駄平、言い出したからは、血を絞っても取....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
金子と手を分かち、単身独行してジュネーブに向かう。途中、ベルンおよびローザンヌに
暫時足をとどめて遊覧す。ローザンヌの山水の雄大なるは、チューリヒの比にあらず。午....