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「暮る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暮るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ので、家《うち》へ帰っても落ち着いていられなかった。 「病みあがりじゃ。もう日が暮るるにどこへゆく」と、叔母が叱るのをうしろに聞き流して、千枝松はそっと家をぬけ....
蛇の花嫁」より 著者:大手拓次
もゆる火のごとく 形なき影をもとめて かたちなき かげをもとめて さだめなく暮るるならむか みちのべに 雨はあり みちのべに みぞれあり 汝がこゑの美し....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の事である。これは夕立というのではなく、午後二時頃からシトシトと降り出した雨が、暮るると共に烈しく降りしきって、九時を過ぎる頃から大雷雨となった。 雷光は青く....
修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
、叱りはせぬ。姉妹の喧嘩はままあることじゃ。珍らしゅうもあるまい。時に今日ももう暮るるぞ。秋のゆう風が身にしみるわ。そちたちは奥へ行って夕飯の支度、燈火の用意で....
南地心中」より 著者:泉鏡花
る跫音の、遠巻きめいて、遥に淀川にも響くと聞きしは、誓文払いに出盛る人数。お珊も暮るれば練るという、宝の市の夜をかけた、大阪中の賑いである。 十五....
秋の筑波山」より 著者:大町桂月
以内の行程、これ東京よりの順路なるが、上野発が午後二時二十分なれば、途中にて日が暮るべし。山に上らうといふ者は、それくらゐの事は辛捧せざるべからず。筑波山麓より....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
とじゃよ。」 「しかと左様かな。」 「はて、入り代り立ち代り煩さいことじゃ。日は暮るる、京までは余ほどの路のりはある。もうよい程にして帰られい。」 兼好は彼に....
目黒の寺」より 著者:岡本綺堂
の寺でも鐘を撞かないのがさびしい。 目黒には寺々あれど鐘鳴らず鐘は鳴らねど秋の日暮るる ◇ 前にいった滝泉寺門前の料理屋角伊勢の庭内に、例の権八小紫....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
碑を包み遠き雲を掠めつ、その蒼く白き烟の末に渋谷、代々木、角筈の森は静に眠りて、暮るるを惜む春の日も漸くその樹梢に低く懸れば、黄昏ちかき野山は夕靄にかくれて次第....
知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
十九町目あたりに到れば、山|急に開けて眼の下に今朝より歩み来しあたりを望む。日も暮るるに近き頃、辛くして頂に至りしが、雲霧|大に起りて海の如くになり、鳥居にかか....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
れるので、彼は直ちに山を降るほどの勇気は無かった。今日一日は山中に潜伏して、日の暮るるを待って里へ出る方が安全であろうと、飢い腹を抱えて当途も無しに彷徨う中に、....
活人形」より 著者:泉鏡花
を捻る時、銀平は耳を聳てて、「待て! 誰か門を叩くぜ。八蔵はよくも聞かず、「日が暮ると人ッ子一人通らねえこの辺だ。今時誰が来るもんか。といううち門の戸を丁、丁、....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
覚めざらましの春の夜の夢 咲けば散る夜の間の花の夢のうちにやがてまぎれぬ嶺の白雲暮るゝまの花のおもかげ身にそはゞねても別れじ春の夜の夢 仄かにぞ月は残れる時鳥い....
海のかなた」より 著者:小川未明
りがないのです。日暮れ方になると、真っ赤に海のかなたが夕焼けして、その日もついに暮るるのでした。 いつ、どこからともなく、一人のおじいさんが、この城跡のある村....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
いうことを君に判らせたいためなのだ。 ……「たとえ一行なりといえども書かずして暮るる日は一日も無し」Nulla dies sine linea というのは僕に....