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「暮春〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

暮春の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
新らしい港の町が一年のあいだにどう変ったかと、これも少なからぬ興味をそそられて、暮春の東海道を愉快にあるいて行った。 その頃は高島町の埋立てもなかったので、ふ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
日は朝から拭ったような快晴になって、田原屋の庭に咲き残っている八重桜はうららかな暮春の日かげに白く光っていた。 浚いは朝の四ツ時(午前十時)から始まったが、自....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
藤坂をのぼって、本郷から下谷の池の端へ出た。きょうは朝からちっとも風のない日で、暮春の空は碧い玉を磨いたように晴れかがやいていた。 火の見|櫓の上には鳶が眠っ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
い襷の女中達がしきりに客を呼んでいるのも、その頃の東京郊外の景物の一つであった。暮春から初夏にかけては、大久保の躑躅が最も早く、その次が亀戸の藤、それから堀切の....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
に輝いているのである。鳶よ、憂うる勿れ、悲しむ勿れと云いたくもなる。 きょうも暮春の晴れた空に、二羽の鳶が舞っている。折りから一台の飛行機が飛んで来たが、かれ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
で泥手を洗って、鬼芝の畔に腰かけつゝ、紫雲英を摘む女児を眺めて居る。ぽか/\した暮春の日光と、目に映る紫雲英の温かい色は、何時しか彼をうっとりと三十余年の昔に連....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
さくおぼろ月夜にかりがねの かへるとこよやいかにのとけき 河暮春 (八十八歳時代) ちる花もはるもながれてゆく河....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
。しかし、これは廻り路である。 小暇を得て、修善寺に遊んだ、一――新聞記者は、暮春の雨に、三日ばかり降込められた、宿の出入りも番傘で、ただ垂籠めがちだった本意....
月かげ」より 著者:豊島与志雄
りちびりと酒を飲み、酔った眼付をぼんやり空《くう》に据えて、時間過ぎのカフェーの暮春の夜の静けさに、うっとりと心で微笑みかけていた。と、驚いたことには、向うの男....
」より 著者:岡本綺堂
の大きい悲しみは娘お元のゆくえ不明の一件であった。 今から十一年前、寛政四年の暮春のゆうがたに、ことし七つのひとり娘お元が突然そのゆくえを晦ました。最初は表へ....
駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
煙のように、さしも烈しかった世間の噂もいつとはなしに消えて、高谷千代子の姿はいま暮春の花と見るばかり独り、南郊の岡に咲きほこっている。 十九 その春....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
日なりき。この凄じき厳冬の日、姪の墓前に涙をそそぎし我は、翌る今年の長閑に静なる暮春のこの夕、更にここに来りて父の墓に哭せんとは、人事|畢竟夢の如し。誰か寒き冬....
上野」より 著者:永井荷風
ノ風致全ク索《ツ》ク矣。」と言っている。雅談の成った年は其序によって按ずれば癸未暮春明治十六年である。また巻尾につけられた依田学海の跋を見れば明治十九年二月とし....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
かのごとくけぶるような汀にねむっている。) 九、羅浪江春帆(南米) 羅浮江上暮春天、習習軽風仏鳥自翩翩。 (九、羅浪江の春帆(南米) 羅浮川のほとり晩春の空....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
づらの彫刻家|独逸人のフリッツ・ル※プも若かった。桐の花とカステラの時代だ。緑金暮春調の時代だ。紺と白との燕や骨牌の女王の手に持った黄色い草花、首の赤い蛍、ああ....