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暮靄
「暮靄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
暮靄の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
るしい子をさえなした。 諸君が二十世紀の都会の街路で、このような、うらないを、
暮靄《ぼあい》ひとめ避けつつ、ひそかに試みる場合、必ずしも律儀に三人目のひとを選....
「春の枯葉」より 著者:太宰治
ばたばた煽ぎ煮物をしながら、傍に何やら書籍を置いて読んでいる。 斜陽は既に薄れ、
暮靄の気配。 第一場と同じ日。 (しづ)(洗濯物を取り込み、それを両腕に一ぱいか....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
生したまずい水彩画を出して友に示した。学校の門と、垣で夕日のさし残ったところと、
暮靄の中に富士の薄く出ているところと、それに生徒の顔の写生が一枚あった。荻生さん....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
たのである。隣の乗客は口笛を吹き出した。これは何か俚謡のようなものを歌うらしい。
暮靄が低く湖水をこめて、小山の上の方だけが浮出ているように見える。途中でそこに連....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
んだぎ》の崖上《がけうえ》から見る彼《か》の広漠たる市中の眺望は、今しも蒼然たる
暮靄《ぼあい》に包まれ一面に煙り渡った底から、数知れぬ燈火《とうか》を輝《かがや....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
らまっすぐに東へ、佐保川の流域である泥田の原のなかの道を、俥にゆられながら帰る。
暮靄につつまれた大和の山々は、さすがに古京の夕らしい哀愁をそそるが、目を落として....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
に深刻な宿縁みたいに思い出されてくる。 ――石曳き唄は、遠くなっていた。お城は
暮靄にかすんで来た。いつのまにかもう黄昏れかけて、伏見の町には早い灯りがポツポツ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
。今もすでに、陽脚は西にうすずいて、往来の人影にも、のろく通る牛車にも、虹いろの
暮靄が映していた。
沢庵さん、沢庵さん、と頻りに後から呼びかけて追って来る者が....
「三国志」より 著者:吉川英治
と、みずから陣前へ出て、かかれかかれとばかり、下知した。 日は暮れかけていた。
暮靄を衝いて、徐晃の一隊がわッと突進する。張※の兵もどっと進む。 だが、橋上の....
「三国志」より 著者:吉川英治
承彦にわるうございますからね」 白髪の翁は、そういうと、飄々杖を風にまかせて、
暮靄の山へ帰ってしまった。 「獲物を追う猟師山を見ず、陸遜たる者が、これまで深入....