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曇
「曇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
曇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
上半身。少年は板硝子に手を当てている。そのうちに息の当るせいか、顔だけぼんやりと
曇ってしまう。
16
飾り窓の中の鬼百合の花。ただし後....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
れられるつもりだろうなどと私《ひそ》かに彼を嘲《あざけ》ったりしていた。
或霜
曇りに
曇った朝、甲野は彼女の部屋になった玄関の三畳に鏡を据え、いつも彼女が結びつ....
「影」より 著者:芥川竜之介
違いないさ。よろしい。さようなら。」
陳は受話器を元の位置に戻すと、なぜか顔を
曇らせながら、肥った指に燐寸《マッチ》を摺《す》って、啣えていた葉巻を吸い始めた....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
いつぞや上野《うえの》の博物館で、明治初期の文明に関する展覧会が開かれていた時の事である。ある
曇った日の午後、私《わたくし》はその展覧会の各室を一々|叮嚀《ていねい》に見て歩....
「河童」より 著者:芥川竜之介
鉄格子《てつごうし》をはめた窓の外には枯れ葉さえ見えない樫《かし》の木が一本、雪
曇りの空に枝を張っていた。)院長のS博士や僕を相手に長々とこの話をしゃべりつづけ....
「彼」より 著者:芥川竜之介
た。彼は彼の恋愛を僕にも一度も話したことはなかった。が、ある日の午後、――ある花
曇りに
曇った午後、僕は突然彼の口から彼の恋愛を打ち明けられた。突然?――いや、必....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
」
「それはそうかも知れないがね。……」
彼は浮かない顔をしながら、どんよりと
曇った高台《たかだい》の景色を硝子《ガラス》戸越しに眺めていた。
「僕は近々《き....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
前に置いてあった。
冬枯《ふゆがれ》の庭は寂しかった。庭の向うに続いた景色も、
曇天を映した川の水と一しょに、荒涼を極めたものだった。が、その景色が眼にはいると....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
た。
午後にも客は絶えなかった。自分はやっと日の暮に病院へ出かける時間を得た。
曇天はいつか雨になっていた。自分は着物を着換えながら、女中に足駄《あしだ》を出す....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
う気だけは起ったはずである。
ところが三月の二十何日か、生暖《なまあたたか》い
曇天の午後のことである。保吉はその日も勤め先から四時二十分着の上り列車に乗った。....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
も、その満足は、復讐の目的から考えても、手段から考えても、良心の疚《やま》しさに
曇らされる所は少しもない。彼として、これ以上の満足があり得ようか。……
こう思....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
わ》さんが帰るとすぐだとさ。」
彼等がそんな事を話している内に、お絹はまだ顔を
曇らせたまま、急に長火鉢の前から立上ると、さっさと次の間《ま》へはいって行った。....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
ならばまだ硝子画《ガラスえ》の窓に日の光の当っている時分であろう。が、今日は梅雨
曇《つゆぐも》りだけに、日の暮の暗さと変りはない。その中にただゴティック風の柱が....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
万太郎君の俳人傘雨宗匠たるは天下の周知する所なり。僕、曩日久保田君に「うすうすと
曇りそめけり星月夜」の句を示す。傘雨宗匠善と称す。数日の後、僕前句を改めて「冷え....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
れで、思い通りの結果が出て来ると、顔に得意の色を浮べる。もし疑わしくなると、額が
曇って来る。考えた事の不充分のために、うまく行かないからで、また新しい工夫をしな....