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曠原
「曠原〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
曠原の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「苦力頭の表情」より 著者:里村欣三
遂に、うまうまと欺かれた俺を知った。泣きも泣けもしない気持であった。 窓には、
曠原のバラ色の朝焼が映っていた。女の寝不足な、白粉落ちのした顔は、俺にへドを催さ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
幻となって、一匹の野牛の顔があらわれた。 それは、コンデロガを発って間もなく、
曠原の灌木帯で野牛を狩った時のこと、砂煙をたてて、牝の指揮者のもとに整然と行動す....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
そ》ノ方支配仰セツケラレ候事」という許可であった。ところで、云う所の空知郡とは「
曠原《こうげん》にて、開墾第一の土地柄に候へども、海岸にてはこれなく、運輸の不便....
「古き小画」より 著者:宮本百合子
。 その晩イラン方では、戦捷の前祝に簡単な祝宴が催された。大きな燎火が、澄んだ
曠原の夜の空を一部分ボーッと焦している下で、兵卒等はぐるりと幾つもの円い輪に坐り....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
や到るところが不破の関」 こう言って、関ヶ原の本道の真中に立って、美濃へつづく
曠原の秋の夜に眼を放つと―― 「や!」 つい間近な足許《あしもと》の一地を一点....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ので、誰ひとりとして彼の面倒を見てやる者もなく、彼の家はこの聖都を取り囲んでいる
曠原のように荒れ果てて来た。彼の寝床は敷かれたままで、消えた火をつける者とても無....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
る、私等の一行もそれを喰って力を得た。浅間山の麓をめぐる時はそのあたりが渺々たる
曠原で、かつて噴火した時の大岩石がそこにもここにも転がっている、仰いでその頂を見....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
やもすると性の掟を忘れようとする、異様の愛着が育てられていった。 やがて、氷の
曠原を踏んで猟虎入江を過ぎ、コマンドル川の上流に達したとき、その河口に、ベーリン....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
いる。人間と季節に見捨てられた異様な眺望であった。 山のむこうにはまた空漠たる
曠原が待ちうけているのだろう。それはもう十分に予期されることであった。かすかに残....
「地上」より 著者:島田清次郎
がら付近の村々から孤立して生活していた。千年も二千年もの昔、まだ村一帯が雪の深い
曠原であった頃、(平家の残党であるともいう)一群の南方より漂泊い来た人達が、この....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
結構な事であります。私は死ぬことはなんとも思わない。もし死ぬ時が来ればチベットの
曠原で泥棒に殺されないでもここに豊かに暮して居っても死ぬにきまって居るから決して....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
、寒ざむとした林はまだ花さえつけていないのだ。) 車入(車は露の首都に入る)
曠原闊。 (ひろびろとした原は海よりも広く、千里をゆく汽車は孤独に走りつづける。....
「仙術修業」より 著者:田中貢太郎
馬の首にかかると力を込めて地上に引き倒し、己の馬を棄ててそれに飛び乗り、茫茫たる
曠原の上を疾走して馬の野性を乗り減らした。 四川省の白竜山と云う山の中だと云っ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
な鬼ヶ岳と、黒部の谷を横さまに駿馬の躍るが如き木挽越中沢二山との間に、五色ヶ原の
曠原が広く長き段階状に展開して、雪と緑とそして懐しさとが溢れている。表面を横走す....