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曲輪
「曲輪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
曲輪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
った。 忠直卿は茶臼山に駒を立てていたが、越前勢の旗差物が潮のように濠を塞ぎ、
曲輪《くるわ》に溢れ、寄手の軍勢から一際鋭角を作って、大坂城の中へ楔《くさび》の....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
りと閃めき上がったものは、退屈男が丸三年さ迷って、見覚えるともなく見覚えておいた
曲輪《くるわ》五町街の、往来途上なぞでよく目にかけた太夫|花魁《おいらん》共の紋....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
春月でした。 「退屈男のわしにはつがもねえ月じゃ。では、まだ少し早いが、ひと廻り
曲輪《くるわ》廻りをやって来るか」 のっそりと立ち上がって、今、血に巡り会わし....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
柄細身をずっしり長く落して差しながら、茶献上《ちゃけんじょう》の博多は旗本結び、
曲輪《くるわ》手前の女鹿坂《めじかざか》にさしかかったのは、丁度|頃《ごろ》の夕....
「大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
千姫を脱出せしめて、秀頼母子の助命を請うたが、その効なく、東軍は秀頼の籠る山里|
曲輪を目がけて砲撃したから、翌五月八日、遂に秀頼淀君と共に自刃し、治長、速水守久....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の木深い庭を蛍が明滅して飛ぶようになった。 ある夜、信玄は十数人の家来と、中|
曲輪の密房で、一枚の地図を中にしてひそかに軍議に更けっていた。 第一の寵臣高坂....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
を知るという奴じゃ。何はともあれ江戸へ帰ったとあらばな、ほかのところはともかく、
曲輪五丁町だけへは挨拶せぬと、眉間傷もおむずかり遊ばすと言うものじゃ。――菊! ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、いや、一向五丁町へお越し遊ばされませぬが何か――」 「つべこべ申すな! ここは
曲輪でない。そのように世辞使わなくともよいわ。――相尋ぬることがある。偽り言うて....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
筈はないが、この日の小芳はまたいちだんの仇っぽさ。こういうところへ来ると、三年|
曲輪の水でみがきあげた灰汁の抜けた美しさが、ひとしお化粧栄えがして、梅甫の鼻もま....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
も、細みもこの弦線の微妙な振動によって発生する音色にほかならないのである。古人が
曲輪の内より取り合わせるか、外よりするかということを問題にしているのはやはりここ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
何者の音であったろう?」 一〇 信州伊那郡高遠の城下、三の
曲輪町の中ほどに、天野北山の邸があったが、ある日、北山とその弟子の、前田一学とが....
「日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
吹き煽られて小石川伝通院前の鷹匠町から発火した。そしてその火は北は駒込から南は外
曲輪に及んだが、日暮ごろから風が変ったために
曲輪内の諸大名の邸宅を焼き、数寄屋橋....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
でございますよ。」 七 場末ではあるけれども、富山で賑かなのは総
曲輪という、大手先。城の外壕が残った水溜があって、片側町に小商賈が軒を並べ、壕に....
「里の今昔」より 著者:永井荷風
》は丁度取崩しの工事中であった。堤から下りて大音寺前《だいおんじまえ》の方へ行く
曲輪外《くるわそと》の道もまた取広げられていたが、一面に石塊《いしころ》が敷いて....
「妾宅」より 著者:永井荷風
《えんごく》へ売り飛ばされるにきまっている。追手《おって》に捕《つか》まって元の
曲輪《くるわ》へ送り戻されれば、煙管《キセル》の折檻《せっかん》に、またしても毎....