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「更け行く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

更け行くの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
海棠《かいだう》の精が出てくる月夜かな うた折々月下の春ををちこちす 思ひ切つて更け行く春の独りかな などと、試みているうち、いつしか、うとうと眠くなる。 ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
。 風鈴の短冊が先日の風に飛ばされたので、先帝の「星のとぶ影のみ見えて夏の夜も更け行く空はさびしかりけり」の歌を書いて下げた。西行でも詠みそうな歌だ。 ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
も、妙にばさばさと音がする。外は霜であろう。山の深さも身に沁みる。夜さえそぞろに更け行くように思われた。 「来ましたよ。」 「二人きりですね。」 と私は言った....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
五 笛も、太鼓も音を絶えて、ただ御手洗の水の音。寂としてその夜更け行く。この宮の境内に、階の方から、カタンカタン、三ツ四ツ七ツ足駄の歯の高響。....
北斗帖」より 著者:違星北斗
描く淋しい心 天地に伸びよ 栄えよ 誠もて アイヌの為めに気を挙げんかな 深々と更け行く夜半は我はしも ウタリー思いて泣いてありけり ウタリーは....
日記」より 著者:宮本百合子
笑みつゝあるは故なくもよし 文箱の青貝光り我指の 白さはまして夜は更け行く 一月二十日(火曜)曇天 暖 〔摘要〕学校出席 有楽座見物(芸....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
し込んでくれたまでは、ぼんやりながら薄眼で見ていた。 与惣次は眠った。夏の夜の更け行くままに、昏々として彼は眠り続けた、底無しの泥沼へ沈むような、自力ではどう....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、所経諸劫数、無量百千万億載阿僧祇、」と誦しはじめた。風も静に川波の声も聞えず、更け行くにつれて、三押に一度、七押に一度、ともすれば響く艪の音かな。 「常説法教....
註文帳」より 著者:泉鏡花
五 「杉、爺やかい。」とこの時に奥の方から、風こそ荒べ、雪の夜は天地を沈めて静に更け行く、畳にはらはらと媚めく跫音。 端近になったがいと少く清しき声で、 「辻....
生不動」より 著者:橘外男
二 ふと私は、ただならぬ表の騒がしさに夢を破られて、がばと跳ね起きた。沈々と更け行く凍てついた雪の街上を駈け抜ける人の跫音、金切り声で泣き叫ぶ声、戸外からは....