»
曵
「曵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
曵の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
方がねえ。腕ずくだ。さあ、歩べ」 かれは女の腕を捉えて、橋詰の番小屋へぐんぐん
曵き摺ってゆくと、橋番のおやじは安火をかかえて宵から居睡りをしているらしく、蝋燭....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
生、お早いことで」 双方機嫌よく挨拶する。 若党｜使僕五人を連れ他に犬を一頭
曵き、瓢には酒、割籠には食物、そして水筒には清水を入れ、弓之進は出で立った。 ....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
。そして同じ左手だけを器用に使ってマッチを擦った。紫煙が蒙々と、原稿用紙の上に棚
曵いた。彼はペンを握った手を、新しい行のトップへ持っていった。 どうやらソロソ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
と化し果てたる趣あり。 絶壁の躑躅と見たは、崩れた壁に、ずたずたの襁褓のみ、猿
曵が猿に着せるのであろう。 生命の搦む桟橋から、危く傾いた二階の廊下に、日も見....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
いまでも送電線がきていない。どの室にも、風呂場にも石油洋灯を用いているのである。
曵戸の格子から風呂場を覗くと、広い浴槽の向こうの正面の片隅に、誰か人が一人湯に浸....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
らわたくしは、何処に往っても、樹の有る処、花の有る処、乃至は黙々と口噤む石、空を
曵く一抹の雲の有るところでは、決して自分がたった独りでいるのだとは思いはしないの....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
…… ちょうど藤つつじの盛な頃を、父と一所に、大勢で、金石の海へ……船で鰯網を
曵かせに行く途中であった…… 楽しかった……もうそこの茶店で、大人たちは一度｜....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
荷車が二台、浴衣の洗濯を堆く積んで、小僧が三人寒い顔をしながら、日向をのッしりと
曵いて通る。向うの路地の角なる、小さな薪屋の店前に、炭団を乾かした背後から、子守....
「牢獄の半日」より 著者:葉山嘉樹
！ お前はその立派な、見かけの体躯をもって、その大きな轢殺車《れきさつしゃ》を
曵いていく！ 未成年者や児童は安価な搾取材料だ！ お前の轢殺車の道に横わるも....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
方の空は青く澄み初めて、夜は満天の星が痛いような光を投げ出す、折々流星が長い尾を
曵いて黒部別山の上を飛んだ。 中村君の話に拠ると、音沢村の佐々木助七は吾々が劒沢....