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書上げ
「書上げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
書上げの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文字禍」より 著者:中島敦
ものは、いかなるものも、その存在を失わねばならぬ。太古以来のアヌ・エンリルの書に
書上げられていない星は、なにゆえに存在せぬか? それは、彼等がアヌ・エンリルの書....
「笑う唖女」より 著者:夢野久作
あった。 暑中休暇の数十日を田舎の自宅で潰《つぶ》して、やっとの事で卒業論文を
書上げた彼は、正午《ひる》下りの晴れ渡った空の下を、裏山の方へ散歩に出かけた。 ....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
書かなくていい。 然し、先月分の本稿を「オール讀物号」の雑文と共に、夜の七時に
書上げた時には、三十八度九分の発熱であった。催促にきていた本社の××女史に 「御....
「李陵」より 著者:中島敦
れなかった。どういう点で在来の史書があきたらぬかは、彼自身でも自ら欲するところを
書上げてみてはじめて判然する底《てい》のものと思われた。彼の胸中にあるモヤモヤと....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
殺されているらしい。 六時から九時まで仕事。一昨日以来の「南洋だより」の一章を
書上げる。直ぐに草刈に出る。土人の若者等が四組に分れて畑仕事と道拓《みちひら》き....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
く、やはりこの附属病室に収容されております一人の若い大学生の患者が、一気|呵成に
書上げて、私の手許に提出したものですが……」
「若い大学生が……」
「そうです」....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
。 この密告書はアイツの筆跡に相違ないよ。ここに来て吾輩の窮状を見ると間もなく
書上げて、識合いの船頭に頼んで、呼子から投函さしたものに違いないんだ。コイツが君....
「二重心臓」より 著者:夢野久作
して……」 「どうしてって馬鹿な話さ。笠支配人は何でもないんだよ。僕があの脚本を
書上げると直ぐに、彼奴に取りかかってやったんだ。犯人は貴様だろう……って威嚇し付....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
ないで、突然歿くなった。毎日日課として、八種ほどの田舎新聞の続き物を何の苦もなく
書上げ、その上道頓堀の芝居見物や、古本あさりや、骨董いじりなどに、一日中駈けずり....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
してすじり捩《もじ》った物であったように記憶する。自惚《うぬぼれ》は天性だから、
書上げると、先ず自分と自分に満足して、これなら当代の老大家の作に比しても左《さ》....
「けむりを吐かぬ煙突」より 著者:夢野久作
に短剣を刺された屍体が、私の名前を叫び立てでもしない限り……。 私はこの原稿を
書上げ次第、雑誌社に居る友人に郵送するつもりである。同時に新聞社へ宛てて神経衰弱....
「魔都」より 著者:久生十蘭
種になって了った。国家的瑞兆という三段抜きの大|標題《みだし》で手の込んだ記事を
書上げ、名士、博士を総動員して感想を執筆させた。中には拒絶した向きもあるが、大部....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
うというので、それから島田がドコからか原書を借出して来て、二人して一週間ばかりで
書上げたのがアノ本サ。早速金に換えて懐ろが温まったので、サア繰出せと二人して大豪....
「年中行事覚書」より 著者:柳田国男
めて見ないが、どの方言集にもついぞ見たことがないから、多分標準語と同じで、それを
書上げる必要を認めなかったものと思う。カガシという語の起りにはいろいろの説もある....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
は、江戸でも、京都でも、エタの由緒調査の事が始まった。弾左衛門が始めてその由緒を
書上げたのは享保四年である。京都に於いてはこれよりも先二年、町奉行から天部・六条....