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書置き
「書置き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
書置きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ったのは、この養女が死んだ時で、可哀そうにその新仏が幼馴染のお敏へ宛てた、一封の
書置きがあったのを幸、早くもあの婆は後釜にお敏を据えようと思ったのでしょう。まん....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
佐野へ帰って、次郎左衛門の姉や親類の眼さきへ突き出したのは、思いも寄らない主人の
書置きであった。それと知って、彼がおどろいて江戸へ引っ返したのは、次郎左衛門が入....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
せられた。蒼い蚊帳のなかに、外記は腹を切っていた。綾衣は喉を突いていた。男も女も
書置きらしいものは一通も残していなかった。多くの場合、
書置きというたぐいのものは....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
西横堀を死場所にえらんだのか、それも誰にも判断がつかなかった。 六三郎は懐ろに
書置きを持っていた。それは親方に宛てたもので、単に御恩を仇《あだ》に心得違いをし....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
、惣八郎のために無残にも踏み躙《にじ》られたのだと、甚兵衛は思った。 惣八郎の
書置きには、「甚兵衛より友誼《よしみ》をもって自裁《じさい》を勧められたるにより....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
顔色ですぐ分かってしまうわ」 「大丈夫だ。都合のいいことに蔦の奴《やつ》がおれに
書置きをしてあったんだよ。だれか、蔦のいなくなったのを不思議がる奴があったら、蔦....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
なくお気の毒な次第で……なんでも、あとから伺ったことでございますが、奥様は簡単な
書置きをお残しになって、自分はどこまでも潔白であるが、お疑いの晴れないのが恨めし....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
どうにか文字の書ける男であるので、その通りに書き残して死んだ。何分にも本人自身の
書置きがあって、豪家の無罪は証明されているのであるから、役人たちもどうすることも....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
士になって見たら、そうでもあるめえよ。それにしても気にかかるのはこの年頃だ。何ぞ
書置きかなんかがあるかも知れねえ。ちょっくら仏をこっちへねじ向けて見な」 しっ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
ましてもらったので、お蝶の死は幸いに新聞紙上にうたわれなかった。 お蝶は一通の
書置きを残していたので、それが自殺であることは疑うべくもなかったが、その
書置きは....
「話の屑籠」より 著者:豊島与志雄
なげに、にっこり笑った顔が、ふだんより一層晴れやかで美しい。 どうせ死ぬのだ、
書置きも何もいるものか。ただ、一杯のんで、ゆっくり話してから……。だが、そう掛っ....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
わたしたちは落ち着いた。で、ベルグヌーは、いよいよ死ぬなら、そのまえにわれわれは
書置きを残して行こうと言った。 わたしたちはまたランプをつけた。ベルグヌーがみ....
「芳川鎌子」より 著者:長谷川時雨
なる動機の径路|顛末《てんまつ》を避けて書いたとしても、死際《しにぎわ》に残した
書置きには、何か心の中の苦悶《くもん》を洩らしてない事はあるまいと思うが、その書....
「乳を刺す」より 著者:邦枝完二
ました次第でございやす」 岩吉の差し出すものを、伝七が受け取って見れば、一通の
書置き。―― この度立ちかえりて、父の病いが業病なりしことを知りおどろき、まして....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
私を訪ねて参りました。広島の牧師に恋慕せられて、奥さんに虐げられ、いたたまらずに
書置きを残して逃げてきました。私は西田さんにお目にかかって、お絹さんを托しました....