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曼珠沙華
「曼珠沙華〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
曼珠沙華の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ず、日ごろ怖れている氷嶺の奥ふかくへと、橇をまっしぐらに走らせてゆく。まばゆい、
曼珠沙華のような極光の倒影。吹雪、青の光をふきだす千仭の氷罅。――いたるところに....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
虫と云う虫が鳴き立てる。早稲が黄ろくなりそめる。蕎麦の花は雪の様だ。彼岸花と云う
曼珠沙華は、此辺に少ない。此あたりの彼岸花は、萩、女郎花、嫁菜の花、何よりも初秋....
「死後」より 著者:正岡子規
は暫しの間廻向して呉れた。其辺には野生の小さい草花が沢山咲いていて、向うの方には
曼珠沙華も真赤になっているのが見える。人通りもあまり無い極めて静かな瘠村の光景で....
「春昼」より 著者:泉鏡花
のものが話でござって。 極性な朱でござったろう、ぶちまけた甕充満のが、時ならぬ
曼珠沙華が咲いたように、山際に燃えていて、五月雨になって消えましたとな。 些と....
「曼珠沙華」より 著者:斎藤茂吉
曼珠沙華は、紅い花が群生して、列をなして咲くことが多いので特に具合の好いものであ....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
見つけた。僕の土地ではそれを幽霊藻とか幽霊草とかいうのだ。普通の幽霊草というのは
曼珠沙華のことで、墓場などの暗い湿っぽいところに多く咲いているので、幽霊草とか幽....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
よいものを見つけて、ハッ! これだなと手を打った。すなわちそれはマンジュシャゲ(
曼珠沙華の意)、一名ヒガンバナ(彼岸花の意)で、学名を Lycoris radi....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
日本の人がこの曼珠沙《まんじゅしゃ》をこの草の名にしたもので、これに華を加えれば
曼珠沙華《まんじゅしゃげ》、すなわちマンジュシャゲとなる。そして中国名は石蒜《せ....
「草と虫とそして」より 著者:種田山頭火
あった。 げんのしようこのおのれひそかな花と咲く 萩がぼつぼつ咲き初めた。
曼珠沙華も咲きだした。萩の花は塵と呼ばれているように、
曼珠沙華のように、花として....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
ずれを雑樹また藪の中に、月夜の骸骨のように朽乱れた古卒堵婆のあちこちに、燃えつつ
曼珠沙華が咲残ったのであった。 婦は人間離れをして麗しい。 この時、久米の仙....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
いません。」 と扇子の要で、軽く払うにつれて、弱腰に敷くこぼれ松葉は、日に紅く
曼珠沙華の幻を描く時、打重ねた袖の、いずれ綿薄ければ、男の絣も、落葉に透くまで、....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
の訛り、もしくは誤ってそう解したものとも見られる。 東京の郊外で彼岸花、俳諧で
曼珠沙華などといっている草の葉を、奈良県北部ではキツネノカミソリ、摂津の多田地方....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
猿江の墓地は未だに僕の記憶に残っている。就中薄い水苔のついた小林平八郎の墓の前に
曼珠沙華の赤々と咲いていた景色は明治時代の本所以外に見ることの出来ないものだった....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
眼をしているのであった。 「?」 両女は、息をつめて、黙しきった。眸と眸とは、
曼珠沙華のように、燃えあった。 「そなたは、どこの、誰ですか。……そして、どこへ....