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月の輪
「月の輪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
月の輪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
る……葉子はそう思いふけりながら静かに静かに西に回って行く月を見入っていた。その
月の輪郭がだんだんぼやけて来て、空の中に浮き漂うようになると、葉子のまつ毛の一つ....
「喝采」より 著者:太宰治
てゆく路がなくなった。昨年の春、えい、幸福クラブ、除名するなら、するがよい、熊の
月の輪のような赤い傷跡をつけて、そうして、一年後のきょうも尚《なお》、一杯ビイル....
「狂言の神」より 著者:太宰治
、なかなか、それらしきものは見当らず、ついには、崖の赤土に爪を立て立て這い登り、
月の輪の無い熊、
月の輪の無い熊、と二度くりかえして呟いた。やっとのことで崖の上ま....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
月代《あおさかやき》も冴え冴えとして愈々青み、眉間《みけん》に走る江戸名代のあの
月の輪型の疵痕もまた、愈々美しく凄みをまして、春なればこそ、京なればこそ、見るも....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、いきなり熊の胴腹へ組み付いた。かれは幾らかの心得があるとみえて、自分の頭を熊の
月の輪あたりにしっかり押し付けて、両手で熊の前足を掴んでしまった。しかも熊の強い....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
似ているところを探すと、身体が痩せていないで肉がボタボタしていることと、それから
月の輪のような眉毛と腫れぼったい眼瞼とまアそんなものじゃないこと」 「それだけ似....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
いのだからな。そこで私は決心し、鎧通しを引き抜くとグイと逆手に取り直したものだ。
月の輪!
月の輪! そこを突こうとな」 云い云い蔵人はテーブルの上の、硯箱から....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
心意気です。即ち王者の心也とゆったり構えて、駕籠屋共に釣竿を才覚させながら、あの
月の輪型の疵痕を夕暮れ近い陽ざしに小気味よく浮き上がらせつつ、そこの流れの岸にお....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
は、白と黒のぶちの犬の皮ではないか、と後で里人に申しますと、その白いところは熊の
月の輪という部分で、熊に依っては
月の輪がお尻のほうについている、との返事で、あま....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
うはいかねえ! これでも喰らって斃りゃあがれ!」 キラリ山刀が閃いたかと思うと
月の輪の辺から真っ赤な血が滝のように迸った。 「オーッ」と熊はまた吠えたがこれぞ....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
天の原かかれる
月の輪にこめて別れし人を嘆きもぞする 私たちがこの人生に生きていろいろな人々に....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
魚を釣りに行き、義弟の家へ泊まっていたのでこれを見ると素晴らしい黒熊だ。鮮やかな
月の輪が、咽を彩っている。猟師親子の腕前に感服しながら、仔細に熊体の四肢に眼を移....
「熊狩名人」より 著者:佐藤垢石
から未だ僅かに七年しかたっていない。であるのに、去る二月二十七日までに四十四頭の
月の輪熊を斃している。この地方の山村には、信州側にも越後側にも幾人もの熊撃ちがい....
「老狸伝」より 著者:佐藤垢石
一 大寒に入って間もない頃、越後国岩船郡村上町の友人から、野狸の肉と、
月の輪熊の肉が届いた。久し振りの珍品到来に、家内一同大いに喜んだのである。 越....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
と訓むはあるいは神の義なるや知るべからず。(或曰、くまは韓語、或曰、くまは暈にて
月の輪のくま也。)ただ狼という文字は悪きかたにのみ用いらるるならいにて、豺狼、虎....