月の頃[語句情報] »
月の頃
「月の頃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
月の頃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
、 「命終のとき」 といって、従容とその親猪の牙にかけられて果てた。 初夏五
月の頃、富士の嶺の雪が溶け始めるのに人間の形に穴があく部分がある。「富士の人型」....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
んは寂しそうだ。 土手の松へは夜鷹が来る。築土の森では木兎が鳴く。……折から宵
月の頃であった。親雀は、可恐いものの目に触れないように、なるたけ、葉の暗い中に隠....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
。抑えられた火が再び燃えたった時は、勢い前に倍するのが常だ。 そのきさらぎの望
月の頃に死にたいとだれかの歌がある。これは十一日の晩の、しかも月の幽かな夜ふけで....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の肌がつやつやと光っている。丘の下には桂川の水の音がきこえる。わたしは桜の咲く四
月の頃にここへ来たいと思った。 避寒の客が相当にあるとは云っても、正月ももう末....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
たが、幸いにまだ朱を引いていなかった。 雷を罵る 呉興の章苟という男が五
月の頃に田を耕しに出た。かれは真菰に餅をつつんで来て、毎夕の食い物にしていたが、....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
ばならぬ処置に関して僕の意見を言おう。 前に、もし母が出るとなれば来年の三、四
月の頃をもってその期としたいと書き送ったが、こんどの母の態度を見ては、この上なお....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
でもない。 蛙が一斉に鳴きはじめる。森が暗くなって、山が見えなくなった。 宵
月の頃だったのに、曇ってたので、星も見えないで、陰々として一面にものの色が灰のよ....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
々の木の葉がほんとうに落ちはじめて、鷲がいよいよその巣を離れて遠征をこころみる十
月の頃になると、古参の腕利きが初めて出張るのである。 弥太郎も用意して出張の日....
「マレー俳優の死」より 著者:岡本綺堂
同意して表へ出ると、二月下旬の夜の空には赤い星が一面に光っていた。これから三月四
月の頃がシンガポールでは最も暑い時季であると、早瀬君はあるきながら説明してくれた....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
を幾冊か持って来たことがあり、その一冊もいただきましたが焼きました。 仲秋の名
月の頃、月見に連れて行こうと仰しゃって、お嬢さんとも御一緒にお供をしました。その....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
四 金石街道の松並木、ちょうどこの人待石から、城下の空を振向くと、陽春三四
月の頃は、天の一方をぽっと染めて、銀河の横たうごとき、一条の雲ならぬ紅の霞が懸る....
「春の修善寺」より 著者:岡本綺堂
の肌がつやつやと光っている。丘の下には桂川の水の音がきこえる。わたしは桜の咲く四
月の頃にここへ来たいと思った。 避寒の客が相当にあるとはいっても、正月ももう末....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
花を栽培せるありて、車上観菊の遊をなすを得たり。 思ひきや同じ月日の照る国で、五
月の頃に菊を見んとは 郊外は果林または牧場のみ。本州は目下りんごの収穫期にして....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
た。醍醐の末寺で古義真言宗の寺である。 願はくば花のもとにて春死なむその二月の望
月の頃 という歌は死の一、二年前に詠んで、仲間の間に知られていたが、望みのごとく....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
んだことがあるが、今七月下旬の盛夏の候でさえ其位は残っているのであるから、三、四
月の頃はこの倍以上もあろうと思われる。私は「うん、壮んだな」と答えて暫く其壮観に....