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月の顔
「月の顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
月の顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
極彩色《ごくざいしき》が出来上り、これから十二|一重《ひとえ》を着るばかりで、お
月の顔を見てにこりと笑いながら、ジロリと見る顔色《かおいろ》は遠山《えんざん》の....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
た。で早速下駄を引き懸けて、急ぎ足で元の所へ引き返して見る……」と云って主人と寒
月の顔を見てすましている。
「見るとどうしたんだい」と主人は少し焦《じ》れる。
....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
月に恵まれる筈だが、それはもうあと五分間のちのこと。そして三十分程ちらりちらりと
月の顔を見ることが出来たと思うと、あとは又元のように密雲に蔽われてしまう筈である....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
、自分の席からは舞台の右半がたいてい見えず、肝心の水谷八重子《みずたにやえこ》の
月の顔《かん》ばせもしばしばその前方の心なき帽子の雲に掩蔽《えんぺい》されるので....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
がって人間の秋の顔は一年中のもっとも品位高い時ではあるまいかと思う。それは中秋の
月の顔とも相通ずる点がある。 太陽がわれわれの頭上へ日々に近寄るということと、....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ついた。宮廷の音楽が思いやられて、どこでもこの月をながめているであろうと思うと、
月の顔ばかりが見られるのであった。「二千里外故人心《にせんりぐわいこじんのこころ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
まいります」 と泣き入って、父帝のお顔を見上げようとした時に、人は見えないで、
月の顔だけがきらきらとして前にあった。源氏は夢とは思われないで、まだ名残《なごり....
「源氏物語」より 著者:紫式部
、霧にも紛れぬ光がさし込んできた。短い庇の山荘の軒は空をたくさんに座敷へ入れて、
月の顔と向かい合っているようなのが恥ずかしくて、その光から隠れるように紛らしてお....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
て…… 「あれ、いけねえ、またうなり出した」 ※沖に小さき漁り舟の、影|幽かなる
月の顔…… 「やりきれねえなあ、うなっていやがら」 ※仮りの姿や友千鳥、野分汐風....
「魔都」より 著者:久生十蘭
向うへ押し通り、大きな座蒲団の上に地響きを立てて胡坐《あぐら》をかくと、下から酒
月の顔を見上げ、
「おい、酒月」
と唸るように呼びかける。酒月は足で座蒲団を掻....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
十六の年の十月でした。染之助の居る一座は、十月興行をお名残りに上方へ帰って、十一
月の顔見世狂言からは、八代目団十郎の一座が懸ると噂が立ちました。私は、二年近くも....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
つじうら》にいそいそと雲足早き雨空《あまぞら》も、思ひがけなく吹き晴れて見かはす
月の顔と顔…… 見物がまた騒ぐ。真黒に塗りたてた空の書割の中央《まんなか》を....