月色[語句情報] » 月色

「月色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

月色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「少年の悲哀」より 著者:国木田独歩
しかし同時にこの花やかな一幅の画図《がず》を包むところの、寂寥《せきりょう》たる月色山影水光を忘るることができないのである。 帆前船の暗い影の下をくぐり、徳二....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
かっと》なり。 ややありて渠らはみな行き尽くせり。公園は森邃《しんすい》として月色ますます昏《くら》く、夜はいまや全くその死寂に眠れるとき、※谺《こだま》に響....
「富士」より 著者:岡本かの子
った二人のこどもの身の上を見定めてからのことにしたいと考えた。すでに死を期しては月色に冴えまさり行く翁の心丹に一ひら未練の情がうす紅色に冴え残った。翁は意識にこ....
「小説　不如帰　」より 著者:徳冨蘆花
やがて日は海に入りて、陰暦八月十七日の月東にさし上り、船は金波銀波をさざめかして月色のうちをはしる。 旗艦松島の士官次室にては、晩餐とく済みて、副直その他要務....
「魚玄機」より 著者:森鴎外
知雲雨会。 未起※蘭心。 灼々桃兼李。 無妨国士尋。 蒼々松与桂。 仍羨世人欽。月色庭階浄。 歌声竹院深。 門前紅葉地。 不掃待知音。 陳は翌日詩を得て、直に....
「ココナットの実」より 著者:夢野久作
妾の寝台は隅から隅まで印度風で凝り固まっていた。白いのは天井裏のパンカアと、海月色に光る切子硝子のシャンデリヤだけだった。そのほかは椅子でも、机でも、床でも、....
「二少女」より 著者:国木田独歩
上 夏の初、月色｜街に満つる夜の十時ごろ、カラコロと鼻緒のゆるそうな吾妻下駄の音高く、芝琴平....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の表に現われるのだということを、まじめに信じているものがあるのですから、夜な夜な月色が紅に変ずるのを、吉兆と見たり、悪瑞《あくずい》と見たりする者の出づるのも抑....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
直な人間を追究しないで置いて、単に、窓を推して見ると、胆吹の山村は一帯に水の如き月色が流れている、ということで不詳していただきましょう。 もとより、連子形の飛....
「道成寺（一幕劇）」より 著者:郡虎彦
に落ち行く森に臨み、奥の方に一路の降るべきが見えたり。下手の方、路の片隅によりて月色｜渦をなし、陰地には散斑なる蒼き光、木の間を洩れてゆらめき落つ。風の音時あり....
「河霧」より 著者:国木田独歩
私塾の設立！ かれはこの言葉のうち、何らの弾力あるものを感じなくなった。 山河月色、昔のままである。昔の知人の幾人かはこの墓地に眠っている。豊吉はこの時つくづ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
い》を輝《て》らして、暗い閃《ひら》めきを放たした。ガス燈の銅色の反映、電気燈の月色の反映、人家の窓ガラス越しの蝋燭《ろうそく》の血色の反映。そして河の囁《ささ....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
色（即ち明快なる藍）及《および》空の黒さ（即ち濁りし藍）及び桃花《とうか》を照す月色《げっしょく》（即ち紅味を帯びたる藍）なり。黄色《こうしょく》は蜂蜜《はちみ....
「西航日録」より 著者:井上円了
地にして、ロンドン人士の避寒および養病のために輻湊する所なり。 背山面海望悠悠、月色潮声入客楼、遥認波間光数点、星星都是仏英舟。 （山を背後に海に面し、一望すれ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
だ一色に緑に染まり、それは麦畑ではなくすべて牧野なのである。） 背山面海望悠悠、月色潮声入、遥認波間星集散、灯台光底仏英舟。 （山を背後にして海に臨めば広々とし....