有り余る[語句情報] » 有り余る

「有り余る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

有り余るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
いでしょう。それに恥ずかしい事を打ち明けるようだけれども、木村さんにもわたしにも有り余るようなお金がないものだから、行きも帰りもその船の事務長という大切な役目の....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
けれど親戚とやら遺産を受け継ぎ一方ならぬ金持と為って、此の塔を買い取り、爾して猶有り余る金を旅費とし、一年ほど諸国を旅行し、遂に米国に参り、今申す火事の時、丁度....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
社との交渉‥‥そのほか鰊漁の始まる前に漁場の持ち主がしておかなければならない事は有り余るほどあるのだ。 君は自分が絵に親しむ事を道楽だとは思っていない。いない....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
私もその苦痛は持っていた。人の前に私を私以上に立派に見せようとする虚妄な心は有り余るほど持っていたけれども、そこに埋めることの出来ない苦痛をも全く失ってはい....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
言葉には、前物語があった。その頃、美男で酒徒の夫は留守勝ちであった。彼は青年期の有り余る覇気をもちあぐみ、元来の弱気を無理な非人情で押して、自暴自棄のニヒリスト....
連環記」より 著者:幸田露伴
て、それこそカナ縛りにされたことだったろう。これほどの赤染右衛門に出て来られて、有り余る才を向う側に用立てられて、しかも正しい道理のある方に立って物を云われては....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
私はそれをハッキリ自覚しているのです。それは世間にはピエロを自認するニヒリストは有り余るほどおりますよ。然し、彼らがピエロでしょうか。ウソですよ。みんな自尊心が....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
の広告が紙上に現れ、最上先生のテストがあつて及第したのが五人、女の子が二人ゐても有り余る店へ五人ならべる、女の方で擦れ違ふのが大難儀、お客のないときは五人ポカン....
選挙殺人事件」より 著者:坂口安吾
よ。選挙事務所で使ったイステーブルまで景気よく燃しちゃったんです。ここの家じゃア有り余る物ですから燃しちゃっても平気のせいもありますけどさ」 寒吉はハッとした....
剣侠」より 著者:国枝史郎
には井上嘉門は、どんな粗末な客であっても、追い返すということはしなかったそうな。有り余る金があるからであろうが、食客を好む性質が、そういうことをさせるのであった....
もう軍備はいらない」より 著者:坂口安吾
姓の子沢山という日本がこのままマトモに働いて金持になれないというのは妄想である。有り余るお金や耕しきれない広大な土地は財産じゃない、それを羨む必要はないのである....
芸術三昧即信仰」より 著者:上村松園
月の二十二日だった。しとしとと春雨の降る日、つとにおきて僧堂に禅師を訪ねました。有り余るなやみを胸に抱いて禅師の教えを乞いに参じたところ、詰所の人が禅師はお休み....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、影のように動く姿、一人のこよなく美しい女、たぐいなき魅力を持つ女――もう一つ、有り余るほどな生活力を持つ女である。というのは、シドニイとエセックスと、二人もの....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
て済みません。 ファウスト お国中で地の底深く動かずに、待っている 宝の有り余る数々は、用に立たずに 寝ています。どんな大きい計画も、 そう云う宝のため....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
窪に出た。其窪もいつか谷らしい形になって、笹原をうねっている。四、五人の野営には有り余る程水が溜っている所もあった。右から石のごろごろした空沢が合してからは、花....