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有り金
「有り金〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
有り金の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
梅《あんばい》だったね。こうなっちゃ、一|刻《とき》も猶予はしていられないから、
有り金をさらって逃げるとしよう。まだ仲間たちは気がついていないようだから、逃げる....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
た。色々な経歴を経て来ているらしく、そんな話を豊富に知っていた。 私はヒゲから
有り金の五円を借り、友達の夫婦の家に転げ込んだ。――ところが、次の朝やっぱり私の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
こうして、自分が強盗に殺されたように仕組んだ以上、うかうかしてはいられないので、
有り金は勿論、目ぼしい物は一と包みにして弁天堂を逃げ出すことになりました。お国の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て、例の匕首をふりまわす。もう旦那と相談するひまも無しに、おとわは目ぼしい品物や
有り金をかきあつめて、無理無体に万吉に引き摺られて、心にもない道行をきめたんです....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
内の伊勢屋という質屋へ浪人風の二人組の押し込みがはいって、例の軍用金を云い立てに
有り金を出せと云った。こっちで素直に渡さなかったので、かれらは大刀をふり廻して主....
「縮図」より 著者:徳田秋声
あった竹寿々の面倒を見ることになり、ほどなく詐欺事件で未決へ入っている間に、妻は
有り金を浚って猪野の下番頭であった情夫と家出してしまい、今は老母と傭人と二人で、....
「不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
。彼はもう一縮みになってしまった。 「そうして、」と僕は云った、「まあ何ですね、
有り金そっくり巻き上げられるか、叩きのめされるか、傷をつけられるか、何れただでは....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
で、厭世的で、皮肉な、昔の彼の考へ方が戻つてきた。 「サギ師のイカサマにかゝつて
有り金をフンダクラレ、養神様の懸命必死な救世主の身替り精神によつてホロリとするか....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
らい安全な保管所はない。一石二鳥というものだ。すでに飲んだ酒の勘定なら、八百円の
有り金まで持たせたまま、お供もつけずに外へ出すはずがないじゃないか。 慌ただし....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
ようになっているのであろうか。
それも、むりはない。出て行けがしにしたあげく、
有り金をさらって逐電した良人である。こうして再び顔が合ったところでふたりのあいだ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
なことはない、と言った。先生はつい一日二日前に四半年分の給料を受けとったのだが、
有り金はのこらず、失踪のときに身につけていたにちがいなかった。 このふしぎな事....
「その人を知らず」より 著者:三好十郎
)じゃ、チョット、なんか買って来るから―― 治子 ……(急いで、ガマグチを出し、
有り金を手の上にあけて、それを友吉に渡しながら)これで、あの―― 五円ぽっちじゃ....