有るか無きか[語句情報] » 有るか無きか

「有るか無きか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

有るか無きかの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
文鳥」より 著者:夏目漱石
っていた。その隅《すみ》に文鳥の体が薄白く浮いたまま留《とま》り木《ぎ》の上に、有るか無きかに思われた。自分は外套《がいとう》の羽根《はね》を返して、すぐ鳥籠を....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
蓼《たで》の花の、白きを人は潜むと云った。髪多く余る光を椽にこぼすこなたの影に、有るか無きかの細《ほっそ》りした顔のなかを、濃く引き残したる眉の尾のみがたしかで....
婦系図」より 著者:泉鏡花
目を圧えて、用水の音|凄じく、地を揺るごとく聞えた時、道子は俤さえ、衣の色さえ、有るか無きかの声して、 「夢ではないのでしょうかしら。宙を歩行きますようで、ふら....
病室の花」より 著者:寺田寅彦
と思う。頂上を見ると黄色がかった小さい花が簇生しているが、それはきわめて謙遜な、有るか無きかのものである。いったい自然はどうしていつもの習慣にそむいてこの植物の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ないで、ようやくこちらを振返り見るの余裕だけを得ました。 そうすると、ほとんど有るか無きかの朧《おぼ》ろな神前の燈明の光にかすけく、そこに自分よりも最初に立っ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
んを抱き締めてしまって、 「しっかりしろ、お雪べえ――」 幸いにして、ほんとに有るか無きかのささやかな希望のひっかかりを与えたのは、この時、こころもちお雪ちゃ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、地上に人類の発生した径路がよくお判りにならぬと存じます。稀薄で、清浄で、殆んど有るか無きかの、光の凝塊と申上げてよいようなお形態をお有ち遊ばされた高い神様が、....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
いのだが――何事か積極的にしなければなるまい。つまり危機のたびに人知れず、そっと有るか無きかの刺戟を相手に与えるだけのことである。それも瞬きなどで人に気取られる....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
のうす。夜に入りて一天片雲なく、明月ひとり皓々たり。 檀山去入。 (檀山を去って有るか無きかの間に入る。船はななめさす陽光のうちを走り、光の外から風が吹いてくる....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
が赴任して来るまでの、師範役であったが、巨星巌流のひかりに孫四郎の存在は、いつか有るか無きかになってしまった。 小次郎は、忠利公に願って、 「孫四郎殿をも、何....