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「有心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

有心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
明暗」より 著者:夏目漱石
に似て実は同時でないように見えた。少くとも津田にはそう思われた。無心《むしん》が有心《ゆうしん》に変るまでにはある時がかかった。驚ろきの時、不可思議の時、疑いの....
魚玄機」より 著者:森鴎外
遣った詩がある。 贈隣女 羞日遮羅袖。 愁春懶起粧。 易求無価宝。 難得有心郎。 枕上潜垂涙。 花間暗断腸。 自能窺宋玉。 何必恨王昌。 采蘋....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
の種々相による分類であるに過ぎないと思われる。これらの方法によって「無心のものを有心にしなして造化に魂を入れる事」が可能になるのである。 常に俳諧に親しんでそ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
のこの肉の眼から一切の光が奪われまして、この世の空にかかる月は姿を見せずとも、本有心蓮《ほんぬしんれん》の月の光というものは、ゆたかに私共の心のうちに恵まれるも....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
切をブチまけてしまった。 これを聞いた三宅氏は胸をうって三嘆し、今にして無心の有心《うしん》に勝るの神髄を知り得たり、といって喜ぶ。 道庵先生、この型を行っ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら、消えも入りたいような、恥かしさの形に見えますが、お雪ちゃんその人からいうと、有心無心の境を過ぎて、わが行く舟の舳先にうっとりしているばかりです。 そのうち....
考城隍」より 著者:田中貢太郎
あった。 と、俄に試験の題を書いた紙がひらひらと飛んで来た。見ると「一人二人、有心」という八字が書いてあった。そこで二人はそれぞれ、その題によって文章を作って....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
ぬものもあった。素朴な色と、その配合と、女の顔などの邪気無いところは、僕をして所有心を起させた程である。それから古い寝台のいろいろがあった。寝台は維也納で、チロ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
の咲きゆく」などという簡潔ないいあらわしは、後代には跡を断った。それは、幽玄とか有心とか云って、深みを要求していながら、歌人の心の全体が常識的に分化してしまった....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
萌さぬものはない。定家とすれば俊成の幽玄から更に自個の立場を明らかにしようとして有心を説く。芸術の分野で絶えず完成されぬ旅をつづけていたということになる。そうだ....
学者安心論」より 著者:福沢諭吉
ん。あるいは阿多福《おたふく》が思をこらして容《かたち》を装《よそお》うたるに、有心《うしん》の鏡はその装《よそおい》を写さずして、旧《もと》の醜容を反射するこ....
日本男子論」より 著者:福沢諭吉
俗に制せられて、醜を醜とするの明《めい》を失うたるものにして、あるいはこれを評し有心故造《ゆうしんこぞう》の罪にあらず、無心に悪を犯すの愚というも可ならん。この....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
る必要はなかったのだ。が、その頃に限らず富が足る時は名を欲するのが古今の金持の通有心理で、売名のためには随分馬鹿げた真似をする。殊に江戸文化の爛熟した幕末の富有....
西航日録」より 著者:井上円了
体の傾動はなはだし。 高浪蹴天船欲沈、長風捲雪昼陰陰、大人皆病児童健、可識無心勝有心。 (高い波は空にとどかんばかり打ちよせて船を沈めようとし、遠くより吹きよせ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
見識の変化、世間的幸運 十 『新勅撰集』、新古今調からの離脱、世襲の芸道の建立、有心、歌における「詩」の喪失の警告、「詩」を培うものとしての漢詩、漢詩と和歌との....