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「有明〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

有明の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
《いのくま》の爺《おじ》の死骸《しがい》を、門の外へ運び出した。外も、まだ暗い。有明《ありあけ》の月のうすい光に、蕭条《しょうじょう》とした藪《やぶ》が、かすか....
或る女」より 著者:有島武郎
に歩みながら、そっと倉地の部屋の襖《ふすま》を開いて中にはいった。薄暗くともった有明《ありあ》けの下に倉地は何事も知らぬげに快く眠っていた。葉子はそっとその枕《....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
や》くというのはこの事じゃ。今度こそは大事の祈祷であるぞ。ゆめゆめ油断すまいぞ」有明けのともしびに照らされた師匠の顔は、物凄いほどに神々《こうごう》しいものであ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ども霜夜の枕にひびく餅の音を聴きながら、やがて来る春のたのしみを夢みたもので――有明は晦日に近し餅の音――こうした俳句のおもむきは到るところに残っていた。 冬....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
散文の訳が数多く試みられた。わが国でも、明治四十一年(一九〇八年)にはじめて蒲原有明がフィツジェラルドの訳書中から六首を選んで重訳紹介して以来、今日までに多くの....
薬草取」より 著者:泉鏡花
へ、梯子が隠して掛けてあった。伝って庭へ出て、裏木戸の鍵をがらりと開けて出ると、有明月の山の裾。 医王山は手に取るように見えたけれど、これは秘密の山の搦手で、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ち、炎燃ゆ、と緋のちらめく袖口で音なく開けた――雨戸に鏤む星の首途。十四日の月の有明に、片頬を見せた風采は、薄雲の下に朝顔の莟の解けた風情して、うしろ髪、打揺ぎ....
『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
たるに、楽の声まさり、物の面白き」舞踏の庭、「秋の夜のあはれには、多くたち優る」有明月夜、「三昧堂近くて、鐘の声、松の風に響き」わたる磯山陰の景色が思い出され、....
」より 著者:岡本綺堂
お此がふと眼をさますと、衾の襟のあたりに何か歩いているように感じられた。枕もとの有明行燈は消えているので、その物のすがたは見えなかったが、お此は咄嗟のあいだに覚....
詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
謂象徴詩人の象徴詩に現れた言語の、厳格な意味における象徴性と言うものは、実際蒲原有明さんの象徴詩の試作の示されるまでは、夢想もしなかったことだった。私はまだ覚え....
誓之巻」より 著者:泉鏡花
みます、秀、秀。」 予は頭より氷を浴ぶる心地したりき。折から風の音だもあらず、有明の燈影いと幽に、ミリヤアドが目に光さしたり。 「秀さんのこと思わないで、勉強....
註文帳」より 著者:泉鏡花
鮮かに顕れていたのがすっかり月の夜に変った。火の番の最後の鉄棒遠く響いて廓の春の有明なり。 出合頭に人が一人通ったので、やにわに棒を突立てたけれども、何、それ....
雪柳」より 著者:泉鏡花
その葉が獅子の頭毛のように見えて、私は、もう一度ぐらぐらと目が眩んだ、横雲黒く、有明に…… あけがた家に帰ってから、私は二月ばかり煩った。あとで、一本松、石磴....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
火たきそめて煙は空にくゆりわぶとも 帰るさのものとや人のながむらむまつ夜ながらの有明の月 いまかりに十首ばかりその歌を掲げて置くことにした。 話はもとへもどる....
芝、麻布」より 著者:小山内薫
のを開いたのである。 国木田独歩、島崎藤村、柳田国男、田山花袋、中沢臨川、蒲原有明などという先輩の驥尾に付して武林繁雄(無想庵)や私なども、よくその会へ出た。....