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「有明月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

有明月の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
映画時代」より 著者:寺田寅彦
ちらし おもい切ったる死にぐるい見よ の次に去来《きょらい》の傑作 青天に有明月《ありあけづき》の朝ぼらけ が来る。ここに来ると自分はどういうものかきっ....
映画芸術」より 著者:寺田寅彦
いう連鎖と比べてどこに本質的の差違があるか。「思い切ったる死に狂い見よ」「青天に有明月の朝ぼらけ」と付けたモンタージュと、放免状を突きつけられた囚人の画像の次に....
薬草取」より 著者:泉鏡花
へ、梯子が隠して掛けてあった。伝って庭へ出て、裏木戸の鍵をがらりと開けて出ると、有明月の山の裾。 医王山は手に取るように見えたけれど、これは秘密の山の搦手で、....
源氏物語」より 著者:紫式部
なせただけの経験よりない源氏は今また非常な哀感を得たのである。八月の二十日過ぎの有明月《ありあけづき》のあるころで、空の色も身にしむのである。亡《な》き子を思っ....
源氏物語」より 著者:紫式部
ならなかった。ちょうどそのころ薫中将は、長く宇治へ伺わないことを思って、その晩の有明月の上り出した時刻から微行で、従者たちをも簡単な人数にして八の宮をお訪ねしよ....
源氏物語」より 著者:紫式部
させる結果しか見せませんよ」 薫はそれに続いてあの琵琶と琴の合奏されていた夜の有明月に隙見をした時のことを言い、それからのちのいろいろな場合に恋しい心のおさえ....
源氏物語」より 著者:紫式部
時片腹痛さで伏し目になっている姫君だった。 夜になって月が明るく出た。川の上の有明月夜のことがまた思い出されて、とめどなく涙の流れるのもけしからぬ自分の心であ....
『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
たるに、楽の声まさり、物の面白き」舞踏の庭、「秋の夜のあはれには、多くたち優る」有明月夜、「三昧堂近くて、鐘の声、松の風に響き」わたる磯山陰の景色が思い出され、....
四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
十一月一日 晴、行程七里、もみぢ屋という宿に泊る。 ――有明月のうつくしさ。 今朝はいよいよ出発、更始一新、転一歩のたしかな一歩を踏み出....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
あがりの上天気で、きょうもさぞ暑くなりそうな、雲ひとつない曙《あけぼの》の空に、有明月《ありあけづき》が残っている。 なにしろ、ずっと夜あかしで、それに、気を....
草と虫とそして」より 著者:種田山頭火
なるにつれて、月も清く明らかになる。とかく寝覚がちの私は夜中に起きて月を眺める。有明月の肌寒い光が身にも心にも沁み入って、おもいでは果もなくひろがる、果もない空....