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有難
「有難〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
有難の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
思うと誰か一人、ちょうどそこへ来かかったのが、静かにそれを拾い上げた。
「どうも
有難《ありがと》うございました。」
女は籐椅子《とういす》を離れながら、恥しそ....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
いとのめようと云うものさ。」
「ふんまた煙管か。」と繰返して、「そんなに金無垢が
有難けりゃ何故お煙管拝領と出かけねえんだ。」
「お煙管拝領?」
「そうよ。」
....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
、括《くく》りつけられてしまいました。縄《なわ》ですか? 縄は盗人《ぬすびと》の
有難さに、いつ塀を越えるかわかりませんから、ちゃんと腰につけていたのです。勿論声....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
》しく良人《おっと》に代った。渇き切っていた赤坊は喜んでそれを飲んだ。仁右衛門は
有難いと思っていた。
「わしも子は亡《な》くした覚えがあるで、お主の心持ちはよう....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
。(王の胸にすがりながら、子供のように泣き始める) 王 (王女の髪を撫でながら)
有難う。よくそう云ってくれました。わたしも悪魔ではありません。悪魔も同様な黒ん坊....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
、昨日のものとは違った服装をさせようという母の心尽しがすぐ知れた。クララは嬉しく
有難く思いながらそれを着た。そして着ながらもしこれが両親の許しを得た結婚であった....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
めえ、全くだ。 何、此の間スタニスラフの尼寺から二人尼っちょが来たんだ。野郎が
有難い事を云ったってかんかん虫手合いは鼾をかくばかりで全然補足になら無えってんで....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
腕組みをして、のっそり出る。 これを聞くと弥次郎兵衛、口を捻じて片頬笑み、 「
有難え、図星という処へ出て来たぜ。が、同じ事を、これ、(旦那衆戻り馬乗らんせんか....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
騎士に対して、脂下る次第には行かない。雁首を俯向けにして、内端に吸いつけて、 「
有難う。」 と、まず落着こうとして、ふと、さあ落着かれぬ。 「はてな、や、忘れ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
はドーあってもなれないのでした。私はきっぱりと断りました。―― 『思召はまことに
有難うございまするが、一たん三浦家へ嫁ぎました身であれば、再びこの地を離れたくは....
「寺内の奇人団」より 著者:淡島寒月
堂守には、坊主の方がいいといって、頭をクリクリ坊主にした事がありました。ところで
有難い事に、淡島堂に参詣の方は、この坊主がお経を出鱈目によむのを御存知なく、椿岳....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いました。 「やれやれ。」 と、子家鴨は吐息をついて、 「僕は見っともなくて全く
有難い事だった。犬さえ噛みつかないんだからねえ。」 と、思いました。そしてまだじ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
になれば御世辞を言い、貧乏人になれば口も利かない世間の人たちに比べると、何という
有難い志でしょう。何という健気な決心でしょう。杜子春は老人の戒めも忘れて、転ぶよ....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
をそう言えや眠る場所だってそうじゃないか。毎晩毎晩同じ夜具を着て寝るってのも余り
有難いことじゃないね。 B それはそうさ。しかしそれは仕方がない。身体一つならど....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
に燬くるかと疑わるる炎暑の候にまたかくの如く無尽の涼味を貯えて人の取るに任すとは
有難き事なりと、古人の作中、得意の詩や歌を誦するともなく謡うともなくうめきながら....