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有頂
「有頂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
有頂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
にあたって足もとにすべり落ちた。検疫官が片手に舵綱《かじづな》をあやつりながら、
有頂点《うちょうてん》になってそれを拾おうとするのを見ると、船舷《ふなばた》に立....
「或る女」より 著者:有島武郎
ていつでも現在をいちばん楽しく過ごすのを生まれながら本能としている葉子は、こんな
有頂天《うちょうてん》な境界《きょうがい》から一歩でも踏み出す事を極端に憎んだ。....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
で道の上をずるずる引張って行った。集会所に来た時は二人とも傷だらけになっていた。
有頂天になった女は一塊の火の肉となってぶるぶる震えながら床の上にぶっ倒れていた。....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
際にたどりつきました。妹はそんな浅みに来ても若者におぶさりかかっていました。私は
有頂天《うちょうてん》になってそこまで飛んで行きました。
飛んで行って見て驚い....
「星座」より 著者:有島武郎
つて触れてみなかった、皮膚の柔らかさと、滑らかさと、温かさと、匂いとをもって彼を
有頂天にした女、……柿江はたんなる肉慾のいかに力強いかを感じはじめねばならなかっ....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
ましい条件を出してあるのであった。 博士コハクがこれを完成させたとき、大統領は
有頂天になって悦んだものである。国一番の重罪人を試験台として試みたところ、たちま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
居住まいを直したかのように姿を変える。君は久しぶりで近々とその山をながめるともう
有頂天になった。そして余の事はきれいに忘れてしまう。 君はただいちずにがむしゃ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
愛のしるしを与えることと受け取ることとにのみ燃える。そして忘我的な、苦痛にまでの
有頂天、それは極度に緊張された愛の遊戯である。その外に何物でもない。しかもその間....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
を見た。まぶしい光に明滅して十字架にかかった基督の姿が厳かに見やられた。クララは
有頂天になった。全身はかつて覚えのない苦しい快い感覚に木の葉の如くおののいた。喉....
「空襲警報」より 著者:海野十三
* それから三日して、旗男のところには二つの大きな快報が舞いこんで、彼を
有頂天にさせた。 一つは、直江津の姉露子と可愛い正坊が、無事にたすかって、今は....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
の前へ展開して来る。顔に当る薄暮の風、足の下に躍るトロッコの動揺、――良平は殆ど
有頂天になった。 しかしトロッコは二三分の後、もうもとの終点に止まっていた。 ....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
村の土臭い娘達に比しては…… * * * K青年は
有頂天になってしまって、次の日、Sのところへ報告に立ち寄った。 「S君、俺は婚約....
「最初の出品画」より 著者:上村松園
博覧会出品作に褒状がくだされたということを読み識ってからは、一変してしまい大へん
有頂天に喜んで、わざわざ私の家へ祝いにやって来た始末。それからは私のまあ、今でい....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
、電報が来る度毎に勝利の獲物が次第に殖えるから愉快で堪らん。社では小使給仕までが
有頂天だ。号外が最う刷れてるんだが、海軍省が沈黙しているから出す事が出来んで焦り....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
再び開かれたが、さしもに流行したダンス熱は一時ほどでなくなった。一時は猫も杓子も
有頂天になって、場末のカフェでさえが蓄音機のフォックストロットで夏の夕べを踊り抜....