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望楼
「望楼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
望楼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
それは、一山支配《ひとやましなべ》当時の遺物で、郷土館であったが、中央に高い
望楼のある母屋を置いて、小さな五つあまりの棟がそれを取りかこみ、さらにその一画を....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
たのは、この日からだといっていい。 高射砲が鳴りだし、待避の鐘が世田谷警察署の
望楼から鳴りだした。英などがまだぐずぐずしているのを叱りつけるようにせきたてて防....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
らく舞台無人。城の他の部分で攻防戦の酣《たけなわ》なる模様。下手は断崖につづける
望楼《ものみ》の端、一個処、わずかに石を伝わって昇降する口がある。上手の扉から金....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
へも知れないでいなかった。 醤主席は、重工業地帯からちょっと放れたところにある
望楼へのぼって、村の様子を見渡した。 太鼓は、いやに無気味な音をたてて鳴り響い....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、マネージャのタウンさんに御紹介を致しますから、お会いくださいませね。それから、
望楼に参って遠眼鏡をごらんくださいましね。亜米利加《アメリカ》の先まで見透しとい....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
大なる誤ちであった。
新館には順々に重なった四つの寝室があって、更にその上には
望楼と呼ばれる一室があった。たぶん昔フォルス公爵の料理場の煙筒だったものであろう....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
怖ろしい姿に見える。その骸骨はこの忙がしい世界を隔てて、さらに遠い世界をながめる
望楼のように、見えない物をも見るかのごとく寂然として立っている。またその骨や、そ....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
たのであろうか、ドドドドンと、けたたましい太鼓の音。それが、海波の哮りを圧して、
望楼からとどろき渡った。 「慈悲太郎、どうじゃ。見えるであろうな。あの二楼帆船に....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ォールスタッフの道化面を冠った一人の男が、郊外ヘルマンスコーゲル丘のハプスブルグ
望楼に幽閉されていると云うのです。 そうなって、重大な国家的犯罪者らしいものと....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
腕へと移して、安楽な姿勢をとった。そして、客の食べたり飲んだりするのを、展望台か
望楼からでもするように見下しながら、立っていた。あらゆる時代における給仕人のかの....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
頭であるところの、田安中納言家のお屋敷であった。客殿、本殿、脇本殿、離亭、厩舎、
望楼台、そういう建物が厳しく、あるいは高くあるいは低く、木立の上に聳え木立の中に....
「ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
が頭をゆすぶって流れた。私は茱萸藪の中に佇んでいた。 その頃、私は、恰度砂丘の
望楼に似ていた。四方に展かれた
望楼の窓から、風景が――色彩が、匂が、音が、流れて....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
と共に、ぎっしりと深き茂陰を成す。 右側には、階段扇形に後方なる角を充し、一つの
望楼にと通じている。そこから帷幔の掛った扉を通じて家の裡に入るようになっている。....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
人に、犯した罪の申立をしろ。
奥方。これは珍らしい、遠目の利く男ですから、
高い
望楼の上で、方々を見廻させて置きました。
そこにいて、高い空をも、広い土地をも、....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ようである。思いがけぬ谷間に集落があり、白い草花がまっさかりだ。また岡の上に高い
望楼のある城壁をめぐらせた町があり、顔に刀傷のある男がぬっと出てくる。こんな間の....