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「朝凪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朝凪の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
地球盗難」より 著者:海野十三
そして夏ならば、昼間は海の方から陸に向って、涼しい風が吹き、朝と夕方には風のない朝凪夕凪があって、夜と共に陸から海へ向って風が吹くのが普通であるのに、決してそう....
石狩川」より 著者:本庄陸男
阿賀妻はこれから乗りこんで行く開拓使庁のことを考えて武者ぶるいを感じるのである。朝凪《あさな》ぎながら海近い空気の冷たさであったのか。こめかみがうずくような清冽....
爆弾太平記」より 著者:夢野久作
を忘れていた。 そのうちに慶北丸はソロリソロリと沖合いに出る。美事な日本晴れの朝凪ぎで、さしもの玄海灘が内海か外海かわからない。絶影島を中心に左右へ引きはえる....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
勢の海は静かな海で、ことにこれより北へかけての阿漕ヶ浦は、その夕凪《ゆうなぎ》と朝凪《あさなぎ》とで名を得た海であります。南へ続く二見ヶ浦とても決して荒い海では....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
木が、枕に響く町々に、寝心のさて安からざりし年とかや。 三月の中の七日、珍しく朝凪ぎして、そのまま穏かに一日暮れて……空はどんよりと曇ったが、底に雨気を持った....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、あれが最後だろう。いや、あれは見たのではない、聞いたのだ。夕凪《ゆうなぎ》と朝凪《あさなぎ》に名を得た静かな伊勢の海、遠く潮鳴りの音がして、その間を千鳥が鳴....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、船を弄ぶ小児の前へ。 近づいて見れば、渠等が漕ぎ廻る親船は、その舳を波打際。朝凪の海、穏かに、真砂を拾うばかりなれば、纜も結ばず漾わせたのに、呑気にごろりと....
丘の上」より 著者:豊島与志雄
て初秋の澄みきった日の光が、あたり一面を包み込んでいた。青々とした高い空だった。朝凪ぎの静かな大気だった。 水死人の上の濡れ蓆からは、淡い湯気がゆらゆらと立っ....
夕凪と夕風」より 著者:寺田寅彦
涼しい南東がかった風を吹かせるらしい。その同じ季節風が朝方には陸風と打消し合って朝凪を現出することになるのである。 低気圧が近づいて来るとその影響で正常な季節....
環礁」より 著者:中島敦
とである。 ※ ヤルート とろりと白い脂《あぶら》を流したような朝凪《あさなぎ》の海の彼方、水平線上に一本の線が横たわる。これがヤルート環礁《か....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
く、気はかろし、 揺れ揺れ、帆綱よ、空高く…… ハロウとでも呼びかけたい八月の朝凪である。爽快な南の風、空、雲、光。 なんとまた巨大な通風筒の耳孔だろう。新....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
は幾度か窓の外を眺めて、幾度か同じような言葉を繰り返した。 夏とはいいながら、朝凪ぎの日本海は誠に穏かである。波打際に波も立たない程であるから、白い波頭などは....