朝明[語句情報] »
朝明
「朝明〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朝明の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
っこり》笑うのさ、器量がえいというではないけど、色が白くて顔がふっくりしてるのが
朝明りにほんのりしてると、ほんとに可愛い娘であった。 お前とこのとッつぁんも、....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
ロゴロ転がっている石の堆積――の上に立った、石はビッショリと濡れて、草鞋が辷る。
朝明りか知らん大きな水平のひろごりが、足許に延されている、白い柔毛のような雲が、....
「不動像の行方」より 著者:田中貢太郎
どうどうと云う譬えば遠い海鳴か、山のむこうの風の音とでも云いそうな音が、その日の
朝明け比から始まってその日は終日聞え、夜になってもまだ聞えていたが、何時の間にか....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
まだ二つ三つ幽《かす》かに光っているのを見つめていた。が、そのうちに私はそういう
朝明けが何んとも云えずに寂しいような気がして来て、そっと起き上ると、何をしようと....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
にもまたありありと浮んで来るものがあっていい。なおこの歌の次に、「君に恋ひ寝ねぬ
朝明に誰が乗れる馬の足音ぞ吾に聞かする」(巻十一・二六五四)、「味酒の三諸の山に....
「月明」より 著者:豊島与志雄
。鶏の声が聞えて東の空が白む頃から、何物にも遮られない、仄白い――而も澄み切った
朝明りとなった。ここ荒海の岸辺では、夜と昼との境をなす朝霧は、一度夜が明けてから....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
で吹雪が唸っても、たちまちもうあの波止場であったことから、山々に霧のかかっていた
朝明けのことから、フェオドシヤから来た汽船のことから、接吻のことから、一切が残ら....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
た。 あまりの事に私は一種の恐怖さえ感じた。私は夜通しうなされるように過し、翌
朝明けると起きて屋敷川で顔を洗った。 少年はと見ればケロリとして何事も無かった....
「決闘」より 著者:神西清
行ってくれるかして貰いたかった。日の出を見るのは生まれて今がはじめてである。この
朝明けも緑いろの光の条も湿っぽい空気も濡れた長靴を穿いた人々も、自分の生活にとっ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
たお家です。ラジオで放送される声はよく聞きましたが、御話はしませんでした。或夏の
朝明方、坂の下に立っていますと、米峰氏が来られました。「どちらへ」とお互いに申し....
「曲馬団の「トッテンカン」」より 著者:下村千秋
のさまざまのことが、とぎれとぎれに浮かんでは消え、消えては浮かびました。 その
朝明けのことです。新吉はまずライオンのほえ声をききつけました。それからいろんな動....
「間人考」より 著者:喜田貞吉
い。その分布もまた広い。新撰姓氏録には杖部一家、丈部三家を録し、和名抄には、伊勢
朝明郡、安房長狭郡、美濃不破郡、下野河内郡、同芳賀郡、陸奥磐井郡(?)等に杖部郷....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、長々と祈った。すでに夜は更けていた。彼女は眠り続けた。ついに――三月二十四日の
朝明けは、まだ冷たくほの暗いころ――容態が変わり、不安の廷臣たちは、病床の上に身....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
ふきくれば香をなつかしみ梅の花ちらさぬほどの春風もがな 詞花 一 このねぬる
朝明の風にかをるなり軒端の梅の春のはつはな 秋たちて幾日もあらねばこのねぬるあさ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
、腰に挟んで出迎えに出ました。利休の様子には少しも周章えた様子は見えません。ただ
朝明けの雪を楽しみつつ客を迎える温恭な気持ちでありました。その気配が秀吉の心に浸....