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朝涼
「朝涼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
朝涼の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
繁昌で、少し遅く行くといつまでも玄関に待たされるおそれがあるのとで、お藤は努めて
朝涼のうちに家を出ることにしていた。けさも明け六ツ(午前六時)を少しすぎた頃に津....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
自分で進んだ次第ではなく、道子が出席することになった。――六月下旬の事なりけり。
朝涼の内に支度が出来て、そよそよと風が渡る、袖がひたひたと腕に靡いて、引緊った白....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
半(午前九時)前に沼津の宿に這入って、宿はずれの建場茶屋に休むことになりました。
朝涼のあいだと云っても一里半ほどの路を来たので、駕籠屋は汗びっしょりになって、店....
「うつり香」より 著者:近松秋江
と、いいながら、私は、久しぶりで口に馴れたお前の手で漬けた茄子と生瓜の新漬で
朝涼の風に吹かれつつ以前のとおりに餉台に向い合って箸を取った。 「あなた、またあ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
多に敷かず、蓙一枚で、真裸に寝たものだ。此様でも困る。朝顔の花一ぱいにたまる露の
朝涼、岐阜提灯の火も消えがちの風の晩冷、涼しさを声にした様な蜩に
朝涼夕涼を宣らし....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
郷にある。「お許婚……?」「いや、」一葉女史の墓だときいて、庭の垣根の常夏の花、
朝涼だから萎むまいと、朝顔を添えた女の志を取り受けて、築地本願寺の墓地へ詣でて、....
「源氏物語」より 著者:紫式部
に、物思いの起こる御様子で晩饗はお取りにならずに菓子だけを召し上がった。 まだ
朝涼の間に帰ろうとして院は早くお起きになった。 「昨日の扇をどこかへ失ってしまっ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
も宇治川に近い家は涼しいはずであると思い出して、にわかに山荘へ来ることになった。
朝涼のころに出かけて来たのであったが、ここではもうまぶしい日があやにくにも正面か....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
穏かならないところがあるようにも見えました。山霧はもうだんだんに剥げて来ました。
朝涼のうちに、関井さんの夫婦はわたくしを近所の森の中や川端へ案内してくれました。....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
かしこの「牡丹燈籠」の時は、八月初めの暑中であるから、大いに威勢が好い。いわゆる
朝涼に乗じて、朴歯の下駄をからから踏み鳴らしながら行った。十六歳の少年、懐中の蟇....
「離魂病」より 著者:岡本綺堂
、西岡は妹をつれて小梅の菩提寺へ参詣に行った。残暑の強い折柄であるから、なるべく
朝涼のうちに行って来ようというので、ふたりは明け六つ(午前六時)頃から江戸川端の....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
こういう時にこそ、かえって一時のお疲れが、どっと出ぬでもありませぬ。なるべく朝は
朝涼のまに、お道をすすめ、京もはやとて、おいそぎなく」 と、それのみでなく、こ....