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「朝空〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朝空の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:菊池寛
るかと疑われ、いつもは見ることを厭っていた硫黄ヶ岳に立つ煙さえ、今朝は澄み渡った朝空に、琥珀色に優にやさしくたなびいている。 俊寛は、童のようなのびやかな心に....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
路川、釧路町を眼下に見て、当面には海と平行して長く延いた丘の上、水色に冴えた秋の朝空に間隔てゝ二つ列んだ雄阿寒、雌阿寒の秀色を眺める。湾には煙立つ汽船、漁舟が浮....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
星が一つチカチカ光っていた。ああ久しく私は夜明けと云うものを見ないけれど、田舎の朝空がみたいものだ。表に盛塩《もりじお》してレコードをかけていると、風呂から女達....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
ト色に冴えわたり、若い女の呼吸のような柔かい霧が、兎の毛のように、ふうわりと白く朝空のおもてに、散らばっている。 小さな水なし谷、宮川のクボを、左右に横切って....
死者の書」より 著者:折口信夫
う、姫は聞かなかった。 南家の郎女の神隠しに遭ったのは、其夜であった。家人は、翌朝空が霽れ、山々がなごりなく見えわたる時まで、気がつかずに居た。横佩墻内に住む限....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
な桶職で、夜明けがたから槌の音をとんとん立てていた。その音に目を醒ますと、晴れた朝空に鳶が翼をひろげて、大きく輪を描いて、笛を吹いている。 鶴見が寓居のすぐ奥....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
じゃア、お伴いたしやしょう」 ようやく六ツになったばかり。磨きあげたような夏の朝空。 薬包紙《やくほうし》 膳椀の箱やら金屏風やらあわててゴタゴタと運....
金狼」より 著者:久生十蘭
いて、夕方までの時間をどこで暮らそうかと考えた。空には一片の雲もない。青い初夏の朝空。葵は幸福にたえかねて眼をとじた。 だれかが扉をたたく。多分、アパートの差....
競馬」より 著者:犬田卯
火がぽんぽんと世間の不景気なんか大空の彼方へ吹っ飛ばしてしまいそうにコバルト色の朝空にはじけた。 仙太は、でも神妙に山裾の開墾地へ行って午前中だけ働いた。あと....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
大規模な空襲があるらしい。引きつづいて空襲警報が鳴りだした。空を仰ぐと澄みきった朝空にちかちか目を射る高層雲が光り、どうやら敵機の来そうな気配がする。目に見えぬ....
三国志」より 著者:吉川英治
、兄弟枕をならべて討死してしまった。 騒擾は、暁まで続いた。しかし余燼のいぶる朝空に、陽が昇った頃には、 「昨夜、洛内を騒がした反り忠の者ども、首謀者以下、あ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
軍勢がどこからともなく来て、夜のうちに洛外をうずめ、それらが一せいに旗手を解いて朝空にひるがえしたのを見れば、北畠|顕能、千種|顕経、楠木|正儀、和田、越智、神....
ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
とくほとんど完成し、ここを中心に信者部落は焼け跡に小さいながら復興しております。朝空高らかに響く再建の槌音、夕畑に遅くまで農耕にいそしむ人影、お告げの鐘は昔なが....