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「朝霧の〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

朝霧のの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
せん。僕は前に穂高山はもちろん、槍《やり》ヶ|岳《たけ》にも登っていましたから、朝霧の下《お》りた梓川の谷を案内者もつれずに登ってゆきました。朝霧の下りた梓川の....
断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
。私たちは、山の頂きにたどりついた。すぐ足もとから百丈もの断崖になっていて、深い朝霧の奥底に海がゆらゆらうごいていた。 「いい景色でしょう?」 雪は、晴れやか....
海底大陸」より 著者:海野十三
話だった。その幸運な一等運転士も、やはり視力はおとろえていた。 それでも、夏の朝霧のなかに鳥がとんでいるのが見えるほどには見えるらしいのは、まったく見つけもの....
川中島合戦」より 著者:菊池寛
隻影もみえない。あやしげな紙の擬旗がすすきの間にゆれているばかりである。そのうち朝霧のはれた川中島の彼方から吶声、鉄砲の音がきこえるので切歯して、十将が川中島を....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
んでいる神宮寺村の丘や林などあるいは遠くあるいは近く、山に添ったり水に傾いたり、朝霧の中に隠見して、南から西へ延びている。 しかし頼正は景色などには見とれよう....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
って、おーいおーいとよんだ。 そのこえが、相手に、きこえたのであろう。やがて、朝霧の中から、ぽんぽんという発動機の音がして、その和船が帆村の方へやってきた。 ....
怪塔王」より 著者:海野十三
ました。 朱盆のように大きくて赤い朝日が、その朝、ことにふかくたちこめた海上の朝霧のかなたに、ぼんやりと見えます。 霧は、怪塔王のために、まさに天のあたえた....
空中漂流一週間」より 著者:海野十三
六条は別にピストルがこっちを向いているのを気にするようでもなく、ゴンドラの中から朝霧のかかった海面をじっと見下していた。 キンチャコフの方が、かえってふうっと....
空襲警報」より 著者:海野十三
かったので、磯吉は好奇心にかられながら、なおも空を見上げていると、やがて晴れゆく朝霧の向こうに認めた機影! 一機、二機、三機、…… いやそれどころではない。....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
、このとき通風筒をひらき新鮮な空気を送ったのち、やおら行動を開始したのであった。朝霧のために、防波堤の形は少しも見えないのであるが、その足元で、砕ける波頭だけは....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
う完全に恢復していた。私は篠竹のステッキで路ばたの藪をたたきつつ、口笛まじりに、朝霧のこめた馬洗川伝いに一時間も歩くと母校の柵や、いらかがもう見え出した。 も....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
乱して、一つも残らず、七兵衛が台所にずらりと懸って未だ雫も留まらないで、引窓から朝霧の立ち籠む中に、しとしとと落ちて、一面に朽ちた板敷を濡しているのは潮の名残。....
清心庵」より 著者:泉鏡花
人の数もまた多し。 昨日一昨日雨降りて、山の地湿りたれば、茸の獲物さこそとて、朝霧の晴れもあえぬに、人影山に入乱れつ。いまはハヤ朽葉の下をもあさりたらむ。五七....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
いて、三たび遠くから吹く風にのって大英帝国に入ったのであった。) 七日、晴れ。朝霧のために林巒を望むを得ず。数回汽船、漁舟を送迎して転進す。穏波晴影、前夕のご....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
は身を起した。そして最後の一瞥を例の眠たげな、鼠色の娘の目にくれて置いて、灰色の朝霧の立ち籠めている、湿った停車場の敷石の上に降りた。 * ....